「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中(再放送は毎週金曜日 18:30~19:00 ※特別番組放送により休止の場合あり)。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.656~外山喜雄夫妻】
今年もまた11月末の一日、中野区の区民センターでジャズ・トークをやらせてもらった。区民センターで場所を変えながらももう10数年続いており、ここ数年は中野区で最も大きく充実した南部地区の区民センターで実施しているが、ゲストのミュージシャンかシンガーを招き、その方のお話を聞きつつ演奏をやってもらう(歌ってもらう)と言う、かなり気楽なスタイルで、一応「ジャズ講座」と仰々しく銘打っているが、気軽なジャズ・トークという内容。平日の午後の2時間半ほどで、メインは50代過ぎの方達、実質は60~70代がほとんどで、ジャズとは日頃無縁の方達ばかり。
まあそんなこともあり今年はNHKの朝ドラ「カム・カム・エブリ・バディ」もヒットしたこともあるので、ジャズの中でも最も気軽に聞けるトラッド・ジャズ(デキシーランド・ジャズ)の分野からと考え、この道の第一人者で早稲田大の軽音楽クラブ(=ニューオーリーンズ・ジャズ・クラブ)繋がりでもある、外山喜雄・恵子御夫妻を招くことにした。
会場の大ホールには70名近い方達が集まり、かなり熱心にお話に耳を傾け、ご夫妻の演奏を聞いたりされていた。このジャズ・トークはまず最初に、百数十年に及ぶジャズの歴史をぼくがざっと軽く説明し、その中でも最も楽し気なジャズがトラッド=デキシーの世界だと言うことを強調、その後にご夫妻を呼び込んだのだが、2人はトランペットとバンジョーで「聖者の行進」をデュオ演奏しながら入場、これだけで会場のお客さん達は大喜び、つかみは万全であった。後は実にスムーズに2時間が過ぎて行ったが、このお2人は早稲田ニューオリーンズ・クラブの先輩・後輩の関係で、恵子さんの方が1年先輩のため、家でも頭が上がらない...、などと喜雄さんが言うと会場は大受け、さながら夫婦漫才でもしているかのごとく楽し気な会話が続く。2人は卒業後数年してニューオリーンズに武者修行の旅を敢行、現地に5年程滞在し腕を磨いた様子などもスライドを交え紹介。また敬愛するサッチモ=ルイ・アームストロングの世界的研究家としても知られ、評伝も出されているご夫婦だが、その評伝本などもぼくが紹介しておいた。外山さんはサッチモの歌真似なども披露、これが天下一品の出来栄えで会場はやんやの拍手喝采。演奏家そしてエンターテイナーとしても言うこと無しの存在。まあ実に愉しくもにぎにぎしい2時間は、あっという間に過ぎ去りお開きとなる。最後はプレゼントのCD争奪じゃんけん大会で、会場の方達は皆満足で帰路についたのだった。
ご夫婦はこの夜開かれる、地元浦安のライオンズクラブ主催の演奏会場に急いで向かわれた。その翌日は朝9時から埼玉のある小学校で演奏会と講演で、何と7時半出発だと言う。ぼくよりも2歳ほど年上の喜雄さん、なんとも元気でダンディーなチャンジー(爺さん)だが、デキシー魂溢れるその演奏と語り、この仲の良いご夫妻には、心から敬服します。拍手!
【今週の番組ゲスト:旅するサックスプレイヤー
10月9日に伊香保温泉の