「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.759~ぼくの最も好きなジャズ曲「エアジン・ラプソディー」~】
天才アケタが亡くなってしまった。本名明田川壮之(あけたがわ・しょうじ)。ぼくよりも6才ほど下の筈だから、今70代なかば...。残念だし、本当に寂しい...。天才アケタこと明田川壮之とは何者...などといぶかる方も居られるかも知れない。ピアニストにしてオカリナ奏者、「中央線ジャズ」の頭目、あの名店「アケタ」の店主で、アケタズ・ディスク社長、そしてオカリナの創始会社「アケタ・オカリナ」の社長。ミュージシャンにして実業家、文筆家ユーモリスト(自称)等々、実に多彩な顔を誇るミュージシャン&エクゼクティブである。
そして大事なことは、彼はぼくの数少ない「心友」である。ある時何人かで彼の根城、西荻の居酒屋で飲んだ時、友達とは...、ジャズ仲間とは...と言った話になった。その時アケタは酔ってはいたのだろうが、自分には余り親友がいないんだ...などと寂しそうにつぶやき、小西さんは先輩だけど親友の一人だよね...などと嬉しいことを言ってくれた。幅広い交友を誇る彼が何を...と思ったが、嬉しくも有り「そうだよ...」と返したものだが、それ以来彼は、ぼくの大事な「心友」である。
よく文句を言われたのだが、ぼくは「アケタの店」には余り顔を出したことがない。亡くなったパーカッションの名手、良ちゃんこと古澤良次郎。卓抜なベーシストで信頼する後輩のグズラこと望月英明(小学・中学・高校・大学が一緒で、大学と小学校はクラブまで一緒)、そしてピアノの巨匠である渋谷毅等など。この店に集う猛者達はどれも親しいのだが、店にだけはなぜか余り顔を出していないので、アケタは会うたびに文句を言っていたものだった。そんなアケタはジャズレーベルの社長でもあったので、良くぼくのジャズ番組に登場してくれたし、ゲストがいないときには「アケタ・ディスク」のミュージシャンに声掛けをしてくれたりもした。
そんな彼とぼくが最後に会ったのは、ぼくが担当している中野区のジャズ講座のゲストに呼んだ時だった。その少し前に彼からTELで「実はぼく、パーキンソン病なんです...」と告げられ、ならば是非とも彼にと思い...、ジャズ講座のゲストに招待し「中央線ジャズ」について語り、エレピでジャズを演奏してもらった。車椅子ではなかったが時々車椅子を使っている...と寂しそうに語る彼を見て、その演奏を聞いているとなにか涙も...と言った感じだった。アケタ 頑張れだった。それから数年、闘病のかいも無く彼は亡くなってしまった。無念・無念。
彼の死亡を聞かされた時、コラムではぜひ書かねばと...と思ったが、ロイ・ヘインズ死亡のコラムに続き、また死亡追悼のタイトルでは...、いくらぼくがチャンジー(爺さん)だとは言え、いささか問題だなーと思ったのだった。ならば、ぼくの大好きな1曲であり、ぼくの応援歌でもある、天才アケタが書いた不朽の名作「エアジン・ラプソディー」をタイトルにしようと決めた。アケタ率いる西荻オーケストラが奏でる物悲しくも力強い究極のラプソディー。天才アケタ自身が「なんと素晴らしい曲...」と自画自賛する正真正銘の名作・美メロディーの作品で、「パッ・パカ・パッパ・パラ・パラ...」オーケストラが奏でる音色を聴くだけで、ぼくは何時も泣かされ励まされる...。特に局員としてあるトラブルで、どうしようもなく落ち込んでいた時、ほぼ毎日の様に聴いていたのがこの曲だった。物悲しくも力強く、ハチャメチャに混乱しながらも、究極に透明で美しく心揺さぶる。本当のジャズがここにはある。皆様もジャズ好きならば、一度は聴いてほしい真の銘品である。
「天才アケタ」 「エアジン・ラプソディー」 どれも永遠に不滅だ。
【今週の番組ゲスト:ドラマー&パーカッショニストの 佐藤 由(さとう ゆう)さん】
2nd アルバム『My Second Stories』から
M1「Sora-高く」
M2「雨」
M3「OVERCOME」
M4「道」




