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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日22:00-22:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.182~今年のベスト作は~】

 いよいよ年の瀬が近くなって来た。この時期はどうしても1年間を振り返り、その年のベスト作品選出といったお仕事がある。レギュラーでレビューを担当している「ジャズ・ジャパン」やウエッブの「ジャズ・マガジン」など数誌からまた依頼があった。「ジャズ・ジャパン」誌はこの選出を受け、来年2月に横浜日産本社のイベント・スペースで、大々的な「ジャズ・ジャパン・アワード」の表彰式を行うことになっており、その進行役は来年も恐らく山本郁嬢が担当するはずである。

 さて僕の今年のベストはチック・コリアの『ザ・ヴィジル』(コンコード)にした。このチックのニュー・バンドは夏の東京ジャズでもトリを務めたバンドだが、久々に彼の本領発揮と言った感じで、あの一世を風靡した「リターン・トゥ・フォーエバー」などをも想い起させる力感溢れた若々しい多国籍バンドで、21世紀ジャズのある地平を指し示したものとも思われる。東京ジャズでのステージは、ぼくは今年のベスト・ライブに選んだほど感心したのだが、余りにラテンジャズ色が濃いと敬遠するジャズ関係者も多かった。ジャズ畑の人はチックとの関係も長いとはいえサックスのティム・ガーランドぐらいで、後はキューバ、パナマ、など南米、アフリカの若手達だったが、その巻き起こすグルーブは凄まじいものだった。アルバムはスタンリー・クラーク、ラヴィ・コルトレーンなどの有名所が並び、ステージ程の若さと力強さこそ感じられないが、それでも十分な迫力に溢れ素晴らしいものだった。

 またボーカルのベスト作には3年ほど前から注目していたパリ在住のセシル・マクロリン・サルバンドの『ウーマン・チャイルド』(ビクター)を選んだ。ハイチ人とフランス人の混血と言う彼女、2年ほど前のデビュー作を聴いてその才にびっくりし、その年のベスト・ボーカルに選んだのだが、インディーズ・レーベルから出されたため殆ど注目されることも無かった。それが今回ビクターが扱うことで一躍脚光を浴びる形となったもの。その他、ロベルト・フォンセカ(キューバ)やアンドレ・メーマリ(アルゼンチン)など、ジャズの枠を越境するミュージシャンの作品が興味深かった。そうそう忘れてならないもう一人が、今NYで最も勢いのあるイスラエル派の一人、ピアニストのシャイ・マエストロ。我がスタジオにも遊びに来てくれた彼は、その後日本でも大注目の一人に成長したが、その彼の新譜もなかなかのもの。

 番組では今年の最後に売れっ子の放送作家にしてジャズ・ライターでもある中野俊成氏を招き、1年間を振り返る予定です。どんなアルバムを彼が選ぶのか愉しみです。

【今週の番組ゲスト:評論家の村井康司さん】
11月25日にアルテス・パブリッシングから「JAZZ100の扉~チャーリーパーカーから大友良英まで」を上梓されました♪http://www.artespublishing.com/books/903951-38-6.html
村井さんの好きな曲を中心に100枚、その関連曲を合わせて全300枚、お勧めアルバムが紹介されています。JAZZへのアプローチを考えている初心者の方や、ジャズってなんだか難しい...って思っている方には特におススメ!!その本に紹介されている曲を中心にお届けしました。
M1:I Could Write A Book/Miles Davis『Relaxin'』より
M2:Skating In Central Park/Bill Evans / Jim Hall『Undercurrent』より
M3:Sophie/Kenny Wheeler『Music for Large and Small Ensemble』より
M4:Let Her/Esperanza Spalding『Radio Music Society』より
M5:On Travel/東かおる&西山瞳『TRAVELS』

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