「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中(再放送は毎週金曜日 18:30~19:00 ※特別番組放送により休止の場合あり)。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.658~内藤遊人(ジャズ・ライフ社長&編集長)の選ぶ今年のベスト作】
今年もいよいよジ・エンド。今年1年を象徴する言葉が、「戦」だとはいくら何でもとも思うが、ウクライナ侵攻だけでなく台湾有事もすぐそこに...と言う、至る所危機だらけの22年には、やはりこの一言が最も相応しいのかも知れない...。
そんな2022年、今年最後の「テイスト・オブ・ジャズ」は、例年通り今年1年間のジャズシーンを振り返り、代表的なアルバムを紹介する企画にしているが、今回はその紹介役をジャズ専門誌「ジャズ・ライフ」の社長にして編集長、内藤遊人君に頼むことにした。まあ社長を捕まえてくん呼ばわりとは失礼な...と、お怒りになる方もおられるかも知れないが、実は彼はぼくの早稲田大学ジャズ研の後輩、そこは先輩・後輩と言うことでお許しを...。彼は学年にして3年下で少し被っているのだが、アルトサックス奏者として大学界隈で有名だった彼とは、学生時代は殆ど面識無かった。それが彼が大学卒業後ヤマハ楽器に勤め、そこをしばらくして辞め「ジャズ・ライフ」の立ち上げに参加した頃からの付き合い。ぼくがジャズ専門誌に記事を書いたりして、ジャズライターの片割れとして活動し始めたのも、彼に頼まれたからに他ならない...ので、ある意味ぼくにとって恩人でもある。
その彼も大分前から足を悪くしており歩くのはいささか不自由。その上にコロナ禍もあり殆んど外出もしない状態。ジャズ関係者が集まると、「内藤さんどうしたの...、最近会ったことある?...」等と言った会話も飛び交っていた。コロナ禍以前には早稲田OBでジャズ関係者10人位による飲み会を、年2回ほど開催しそこで会っていた。一応ぼくが最年長で主宰と言う形になっているが、実質は内藤編集長(社長)を慰労する会...であり、そこで色々飲みながら話もしていた。だがこのコロナ禍になってからは、その会も自然休止。彼も殆んど外出すらしなくなっており、ほぼ3年近く会うことも無かった。
これはいけないなーと思い、是非彼に番組登場してもらいたい、それも何か節目になる時に...と想い、1年間の振り返り...と言うことで思い切って今回出演依頼のTELをしてみることにした。会の面々やジャズ関係者などは「内藤氏を引っ張り出すなど無理ですよ...」といった意見だったが、これが予想外にすんなりとOKの返事。と言うことで今回なんと10数年振りの社長兼編集長の登場となったのだった。彼が選んだ今年の4枚は、別項に書かれている通りだが、小曽根真のソロアルバムなどどれも納得いくものばかり。「今年1年を4枚で纏めるなんて無茶ですよ...」等と文句を言いながらも、山本嬢と快く会話し1年を振り返ってくれた。
内藤遊人(多喜男)は男も惚れると言った感じの実にいい漢。言うなればジャン・ギャバンやリノ・バンリェラ等と言った、一時代前のフランス映画のフィルム・ノワール(暗黒映画)の主役達。あるいはジェームス・コバーンなどサム・ペキンパ監督作品の常連達等と言った、渋い役者にも似た面構え。あまり外出しないみたいだが、その渋さは流石のもので衰えていない。収録が終わって当然近くで一杯...と誘ったのだが、「今は無理ですよ、今は無理...」とばっさりと拒否された。ぼくと同様のチャンジー(爺さん)ながらも、実にイイ面構えでいい耳を持った「信の漢」でもある。内藤遊人は...。
ところでジャズ番組、来年もまた色々な趣向でお送りしますので、ご贔屓の程。さてその正月第一弾は、サダオさん(渡辺貞夫)と並ぶ日本ジャズ界のレジェンド、来年初めには90才を迎えるギター奏者のムレさんこと中牟礼貞則さんです。乞うご期待。
【今週の番組ゲスト:ジャズ専門誌『jazzLife(ジャズライフ)』編集長の 内藤遊人さん】
M1「Sometimes / 小曽根真」(『OZONE 60 -STANDARDS-』より)
M2「It Could Happen To You」/ John Scofield」(『John Scofield』より)
M3「I Feel Foolish / Caity Gyorgy」(『Featuring』より)
M4「M.E / Elvin Jones」(『Revival: Live at Pookie's Pub』より)