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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.544~もういくつ寝ると

 色々波乱と混乱に満ちた年だった2020年も、もう残り僅か...。コロナ禍以外にはほとんど何も考えられない1年間だったとも言えるが、ぼく自身もう70年以上生きて来た中でも、最も災事に悩まされ続けた1年だったと思う。年初めの頃は、コロナ禍もこんな酷いことになるとは想像出来なかったが、2月ぐらいからは直ぐにドン底状態、本当に最悪の1年間だった。日本がどうにかこのコロナ禍をやり過ごせたのは、志村けん、岡江久美子と言う2人の有名人のコロナ死だったのではないだろうか...。あの死亡ニュースによって、新型コロナは怖いものだと言う認識が全国民に徹底され、マスク着用や消毒励行なども実施。自粛警察などのコロナ禍監視社会の徹底が、全く好ましからざることなのだが、ある程度の抑制に繋がったとも言える。
 個人的にはこのコロナ禍に加え、この夏終わり頃から番組面でのあるトラブルに巻き込まれ、11月初め頃までおよそ3か月間も悩まされ続けた。局員時代にも無かったトラブル勃発で、止まぬコロナ禍と合わせダブルショック状態、個人的にも全く混沌・困惑の年だった。

 さてそんな2020年も、もうジエンド。と言うことで毎年恒例の「今年のジャズこの1枚...」、ジャズ専門誌やジャズサイトからも依頼を受け、頭を悩ませどうにか選出した。まずは海外編。こちらはブラジルを代表するピアニストにして作・編曲家、教育者でもある、アントニオ・アドルフォのミルトン・ナシメント集『ブルーマ』(輸入盤)。ナシメントは「ブラジルの声(心)」などとも呼ばれる、ブラジルの北島三郎とも言えそうな大シンガー。ジャズとの親和性も強く、ハービー・ハンコックやウエイン・ショーターと言った巨人達との共演は、ジャズファンならばもうよくご存じの筈。そのナシメントの作品集を、アドルフォは何時か作り上げたいと思っていて、今回ようやく実現したのだと言う。それだけにその力量が最大限に発揮された、ブラジリアンジャズならではの、軽やかで充実した力作で、グラミー賞のラテン部門でも最高賞に輝いた筈の作品である。

 そして国内編だが、これがまたなかなかの難物。このコロナ禍でジャズプレーヤーやシンガー達にも大きな影響が出ており、ライブ活動は出来ないうえにライブハウスも次々と閉鎖。我らが拠点とも言える老舗ジャズクラブ、新宿「J」も、マスター幸田稔君の奮闘むなしく、遂に40数年の歴史の幕を閉じてしまった。それだけにジャズにとって実際の活動が非常に難しい1年間で、更にアルバムも出せなくなり、そうした様々な悪条件などにより、国内盤の1枚を選ぶのは困難な作業だった。しかしやらなければならない。
 と言うことでぼくの今年の国内盤の1枚は、注目の若手べーシスト、須川崇志のトリオ=バンクシア・トリオによる『タイム・リメンバード』。故菊池雅章や峯厚介などのバンドで活躍している、バークリー音楽大出身の知性派べーシスト須川は、林正樹、石若駿の今最も才能に溢れた若手による自身のトリオ~バンクシア・トリオを結成、そのデビューアルバムにあたる。ここでは期待通りの素晴らしいトリオサウンドが展開されており、日本的でありながらインターナショナルな響きと魅力にも溢れている、まさに世界に通じるトリオサウンドが、がっちりと提示される。皆様も是非聴いて欲しいものです。

【今週の番組ゲスト:NY在住のピアニストRINAさん】
デビューアルバムRINA」から
M1Journey
M2Shadows Of The Mind
M3Tale Of Small Wishes
M4Run And Rise

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