【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.491~ワンチーム】
今年の流行語大賞は「ワンチーム」に決まった。もちろん日本中を巻き込んだRWC(ラグビーワールドカップ)効果によるところが大きいが、今やダイバーシティー&コンクルージョン化が進みつつある日本にとって、かなり重大な意味を持つ言葉になっているとも言えそうである。競技スポーツでは当然「ワンチーム」の一体感は勝利の為に必要だが、ラグビーみたいに国籍主義ではなく在地主義を採用する競技、特にラグビージャパンの場合には半数以上が外国生まれの選手と言う状況だっただけに、この言葉は全体を纏めその士気を高めるために、確かに必須の要因であったと思われる。ぼく自身は「4年に一度ではない、一生に一度だ」と言う、あのキャッチフレーズが最も印象深かったのだが、言葉の持つ訴求力やその持つ意味合いから、やはりこの「ワンチーム」なのだろう。キャプテンのマイケル・リーチや最年長のトンプソン・ルークなど、この言葉を体現化したジャパンの外国出身選手たちを誇りに思う。
今の日本は人口減など様々な要素がからみ、どんどんと縮み&竦み傾向にあるのは間違いないが、かつて世界をリードして来た諸企業が一概に元気が無く、長年漫然とトップを務める安倍首相が、し放題で許容されてしまうような国になってしまっている。これは忖度や過度の従順さなどの国民性も大きいが、正にへつらいでは無い真の意味での「ワンチーム」としての気構え、これが極端に薄らいでしまったことによるものだろう。そして日本でも在日の人々へのヘイト主義や弱者排除などが横行、旧来的な「ワン」への回帰傾向を政府も押し進めつつあるようにも思える。ただこれは日本だけでなく、今や全世界的な傾向とも言え、その際たるものが「ワンアメリカ」を標榜する独裁権力者トランプを始め、EC各国での自国第一を掲げる右派勢力の台頭等々。同じ「ワン」でもこの2つは正反対の意味合いを示している。
ジャパンが実現した「ワンチーム」、それが象徴した全てに開かれている、「ワン」の持つ意味合いの重要性。その為にもラグビーという競技が、より日本に根付くようになればいいなと今は切にそう思う。先日も我がラグビー番組で、パーソナリティーの藤島大さんがラグビーの面白さを一人語りしていたが、このワンチームも、その面白さ・素晴らしさに加えられるべきものだと思う。
ところで今回の流行語大賞に関しては、「タピる」という言葉も入っていた筈だが、今回の台湾特番(12月29日放送)の一つの主要タームが「タピオカ」。そのため台北の街でも我々スタッフは大いにタピって来た。またどうしてタピオカが日本の国民食の一つにもなり、台日友好の象徴になったのかについても、特番では取り上げるつもりにしている。 ジャズは優れて個の音楽だが、同時にダイバーシティーの音楽でもある。虐げられた者達の苦しみ、悲しみ、そして僅かな喜び。その原点を忘れて何がジャズだ...と今つくづく思う。「ワンチーム」意味深い好い言葉である。
【今週の番組ゲスト:チカブーンのリーダーでサルサ・ラテン音楽情報フリーペーパー『SALSA120%』エディターの森村あずささん、マルチ・シンガーソングライターの エリック フクサキさん】
M1「いつまでも・・・/ Chica Boom」
M2「Ai Yai Yai!/ エリック フクサキ」
M3「Puente sobre el mar / Oruqesta Del Sol」
M4「Lagrimas Negras / Gonzalo Rubalcaba & Aymee Nuviola」
