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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.233~ブルー・ジャイアント~】

 このコラムと本家のジャズ番組の方でも、「ジャズ本」「ジャズ電子書籍」を続けて取り上げて来たが、この流れからすると次は「ジャズ漫画」とくるに違いない(本当か...)。ジャズ漫画と言えば、一頃はもっぱら、早稲田漫研出身で「ブルーノート」コレクターとしても知られるラズエル細木と言う事になっており、彼にはかつて番組にも出演してもらったこともあるのだが、かなりなうんちくの人でもあった。そして最近話題になったのが、高校のジャズ研を扱った「坂道のアポロン」。しかし一回読んでぼくは全く駄目だった。良くある高校のクラブものの域を出ておらず、ジャズの愉しさ、凄味などその魅力は、ほとんど無かったように思われた(余りいい読者では無かったので...)。
 「ジャズ漫画」では期待できる作品は無いのかといささか残念に思っていた所、ありました、超ド級の作品が...。それが「ビックコミック」連載(の筈)の「ブルー・ジャイアント」。映画化もされた「岳」で話題を呼んだ石塚真一氏の作品で、単行本で既に3冊余り出ている。。

 ストーリーは仙台市のバスケットボール部員の高校生が、ひょんなことでジャズを聴き、それに魅了され一人で広瀬川の河原でサックスを吹き始め、世界的なサックス吹きに成長する(らしい)、ボーイ・ミーツ・ジャズ物語なのだが、この主役の宮本大が素晴らしい。仙台市には「定禅寺ジャズフェス」と言う有名な街ジャズイベントがあるが、これも作品に取り込まれており、独学でサックスを吹いている彼は飛び入りで道路でサックソロ演奏を繰り広げ、演奏内容(自己流だからかなり滅茶苦茶だが...)よりもその音の凄さに、通りすがりの人たちが圧倒される様子が見開きの2ページで描かれるのだが、全部で70近いカット(サックスを吹く彼と驚きの聴衆が交互に出て来る)が素晴らしい。
 ジャズサックスはまず何よりもその音、轟音とも言える音の凄さ、迫力が無ければ何も意味がない...と言う事を、鮮やかに表現しているのだ。そのあと彼は仙台在住のあるジャズメンと知り合い、教えを乞うのだが、その師匠の教えの言葉もイイ。「サックスと言うのは守る楽器じゃないんだ。先頭に立ってポイントを担う攻めの楽器だろう...」「時には調子に乗ってもいい...。だがそれに酔うな。ジャズは酔って勝てるような世界では無いんだ」等々。名言と言っていい言葉が並ぶ。余りにも高温なため赤を通り越し青く光る巨星~青色巨星(=ブルー・ジャイアント)。師匠がNY修行時代に、仲間達と世界NO1ジャズプレーヤーを「ブルー・ジャイアント」と呼んでいた,その世界を目指して大は飛翔して行く。感動の成長物語なのだ。

 「岳」は本当に山好きか、いささか疑問の残る内容だった石塚だが、この作品は世界的なスケールにある傑作だ。何より彼自身がジャズに賭けている、その意志を読み取ることが如実に出来る。時に涙して読んでしまうこの作品、ジャズ漫画のある極地に達した感もある、と言い切ってしまおう。ジャズと並んでぼくの大好きなラグビー。藤島大先生のラグビー番組は来年も続きそうだが、今密かにラグビー協会にラグビー漫画の誕生を仕掛けようと思っている...。オリンピック、ワールドカップと続くこの時期、ラグビーと富に成長して行く青年、それを見守る美しきガールフレンド、この感動ラグビー漫画の登場しか人気回復策はあり得ないと、ぼくは確信しているのです。

【今週の番組ゲスト:ブルーノート東京 広報担当の岡田安正さん】
年末年始のお薦めLIVEをご紹介頂きました。
M1『SOCOPAO/RICHARD BONA』
M2『Lover Man/DEE DEE BRIDGEWATER』
M3『ON FIRE/MICHAEL CAMILO』
M4『Oh!Tengo Suerte/JORGE SANTANA』

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