「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.755~ジャズのことばかり考えてきた~】
遅まきながら故児山紀芳氏のジャズ本「ジャズのことばかり考えてきた」を読んだ。白水社と言うサルトルやサガンなどのフランス文学本などをメインに出している高踏的出版社から2018年夏に出されたこのジャズ本、児山氏から送られてきて読まないと...と思いながら、積読状態のまま行方知らず...。それが今回レコード整理をしている最中に偶然に見つかリ、ようやく読むことが出来た。このジャズ本が出た翌年の2019年2月には肝心の児山氏が亡くなってしまった(82才)だけに、この本の存在は、何時も気になっていたのだった。スミマセンでした、児山さん。
ところで本のタイトルが「ジャズのことばかり考えてきた」とは、純生ジャズマニアの児山さんらしいタイトルだが、彼自身もこの本の冒頭に、自身の肩書として元ジャズ雑誌編集長、ジャズ評論家、ラジオDJ、ボックスマン(音源発掘家)、ディスコグラファー、ジャズフェス監修者等々...と記しているが、本当にジャズに関する「何でも屋」でもあった。大阪人だけに趣味と実益に長けた人で、ジャズを商売としても成立させた第一人者でもあった。今は無きジャズ誌「スイング・ジャーナル」編集長(前後2回務める)として権勢を振るい、「ゴールド・ディスク」や「ジャズ・ディスク大賞」など様々な新企画を立案・推進しジャズ発展に貢献したが、反面商売人として反発を受けることも多かった。ジャズ関連の面々からは毀誉褒貶の激しい人ではあったが、本のタイトルにも有るように、常にジャズを第一義に考え、行動し編集し商売にした人だったのは間違いない。
ぼく自身は彼とは結構仲が良かったが、スイング・ジャーナル誌で原稿を書いている時は、児山氏はもう編集長ではなかった。時々ライナーノートの原稿などで便宜を図ってくれたこともあったが、やはり関西人特有のそのアクの強さには、少し辟易とする感もあったが、決して嫌いでは無かった。そんな彼に最後に会ったのは、確か御茶ノ水のディスクユニオンの店頭だったと思う。このジャズ本の出版記念会をやるようで、その打ち合わせか何かで来店していたときだったが、挨拶をするといささか元気の無いのが気になった。このジャズ本が出ることを嬉しがっていて、君にも一冊送るよ...と嬉しそうに語っていたのが印象に残っている。
「ジャズ好きが高じその熱を抑えられず、なんの伝手も無いままジャズの世界に飛び込み60年。ジャズと走り続けた半生で、寝ても覚めてもジャズのことしか無かったわたしです...」と前書きで記しているが、彼にとって晩年のジャズ関連仕事ではジャズ番組(NHKFM「ジャズ・トゥナイト」)のパーソナリティーが大きかったが、そのディレクターの田村直子さんとの対談がラストに配置されているが、これも同じラジオ業界人としてなかなかに面白い処。しかし最大のポイントは、やはりアート・ペッパーやソニー・ロリンズといった、ジャズの巨人達との付き合いを記した「ジャイアンツの肖像」の章だろう。特にアート・ペッパ-とは麻薬患者収容施設「シナノン」でのインタビュー時のエピソードが記され、インタビュー終わりに「是非貴方の演奏を聴きたい...」と児山氏が熱望すると、あっさりと「じゃあ裏の海岸で...と誘ってくれ、楽器を取り出すとひとしきりわたしの前でサックスを吹いてくれたのです。この時の感動はわたしの人生で最も尊い宝物になっています」と...。純粋なジャズマニア=児山紀芳。彼の純粋なジャズ魂に献杯!
【今週の番組ゲスト:現役大学生ギタリスト平田晃一さん】
1stアルバム「Introducing Koichi Hirata - Live at alfie」より
M1「A Weaver of Dreams」
M2「This Could Be The Start of Something Big」
M3「The Shadow of Your Smile」




