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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.609~井上陽介~】

 我が「テイスト・オブ・ジャズ」新春第2弾は、今最も売れっ子のジャズベーシスト、井上陽介の登場である。自身のトリオを始め、J-ジャズ最注目のバンドとも言えそうな大西順子グループのボトムをしっかりと支え、その他の様々なセッションやオールスターバンドなどでも、最も頻繁に顔を出しているベーシストでもある。その彼が昨年秋に自身のトリオで、新しいアルバムを発表した。『ネクスト・ステップ』。彼の国立音大ジャズ科の教え子、武本和大(p)と浜田省吾(ds)と組んだこのトリオの2作目で、トリオ結成3年目になる。

 井上氏もデビューアルバム発表当時からスタジオに遊びに来ており、アルバムを出すとゲストに呼ぶ...と言った感じにもなっており、番組セミレギュラーの一員と言った趣きもある。ベーシストがリーダーのユニットは、中々に長続きしない...と言ったジンクスもあるのだが、師弟コンビのこの井上陽介トリオは着々と実績を積み重ね、今やかなり注目の存在になっていて、彼とは古くからの付き合いだけに嬉しい限り。

 この新作も「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」に始まり、「A列車で行こう」「スピーク・ロウ」と言ったお馴染みのスタンダードナンバーを軽やかに演奏するのに加え、タイトル曲など数曲を井上やメンバーのオリジナルで纏めており、そこら辺の扱いもこのアルバムの聴きどころの一つと言える。弟子の2人は井上について、「その音楽性の幅の広さには尊敬しかない...」と異口同音に語っているが、確かに彼はジャズのフィールドだけでないポップス分野などでも、良くお呼びが掛かっていて、有名シンガーのバックにその名前を見つけることも多い。音楽大学ではかなり厳しい先生でもあるようだが、実は非常におちゃめな人物でもあり、そこら辺の面白さもうるさ型の順子が、気に入っている所ではないだろうか...。もちろんそのしっかりしたベーステクニックが、何より順子が買っている点なのは、言わずもの事だが...。
 
 そのお茶目さを象徴しているのが、彼のフェイスブック。毎回趣向を変え色々と笑わせてくれるのだが、スタジオに来た彼に、「フェイスブック何時も頑張っているね...」と声を掛けると、「毎回ネタ考えるの結構大変なんですよ。アイデア考えて下さいよ...」と逆に頼まれてしまう。まあベースもバッチリのお人なので、息抜きくらい...とも思うが、こちらもアイデアなどは出てこない。
 今や人気・実力も抜群の彼だけに、その存在に注目する人も多く、なんとこの新作のライナーノートは、彼の力量を高く評価しているジャズ好き作家の村上春樹が書いている。春樹のジャズライナーなどは、めったに無い珍しいものなのである。春樹は語る「ぼくが井上陽介さんのベースを好むのは、彼の演奏の中に、昔ながらのベーシスト気質が生きて脈打っているからです。彼の本領はやはり大地をしっかりと踏みしめる、そのウーキングベースの素晴らしさにあります」と...。
 現代のジャズ好き文豪に、こんな風に褒められれば当然悪い気はしない。そこら辺についても彼は番組に中で語ってくれている。井上陽介、今最も信頼に足るべーシストの話と音楽、皆様も是非楽しみに聴いてみて下さいね。

【今週の番組ゲスト:ベーシストの井上陽介さん】
10枚目のアルバム『NEXT STEP』から
M1On Green Dolphin Street
M2Take the "A" train
M3Tranquility
M4Next Step


 

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