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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.231~ジャズレジェンド~】

 ジャズの歴史は20世紀とほぼ同時なので110年余り。一方日本のジャズ史は戦後の進駐軍と共に始まる(戦前にもジャズはあったが...)。その「和ジャズ」の冒頭を飾った松本英彦、宮沢明、白木秀雄等々の、第一世代の大物達はもうほとんどいなくて、現役は秋吉敏子、渡辺貞夫、マーサ三宅など数えるほど。山下洋輔、日野皓正などはサダオさん(渡辺貞夫)がバークリー音楽院から帰国して本格的なJ-ジャズがスタートしてからの第2世代のスターと言える。その第一世代だが、彼らは立川や横浜等進駐軍のベース(キャンプ地)で仕事をしながら、ジャズをやっている兵隊達からも学びつつ成長して行ったのだった。そんな第一世代の生き残り、いわばジャズレジェンドの一人が今回スタジオに遊びに来てくれた。

 Qいしかわ、テナー奏者で現在83才。和ジャズの生き証人とも言える彼も、進駐軍のキャンプでバンドボーイをしながらテナーのイロハを習った一人。ラジオ日経近くの神谷町で生まれ育ち、中学・高校は名門「暁星」と言うお坊ちゃん。ただ実力の割にその存在が知られていないのは本当に残念なこと。ぼくは大分以前、彼が銀座の高級クラブでハウスバンドの一員としてプレーしているのを聴き、その豪放なプレーに痺れたことがあり、それ以来彼の大ファンになってしまった。
 そのQさんが新作を出したと言うので、スタジオにお招きした次第。この新作についてジャズ雑誌からインタビューの依頼があり、その時初めて彼と正式に話をしたのだが、いい具合に枯れた好々爺と言った感じで、直ぐにその人柄が好きになってしまった。アルバムは彼の孫とも言えそうな、30代初めのピアニスト、遠藤征志とのデュオで、タイトルはなんと『おともだち』。数年前ひょんなことで共演し、遠藤君の才能にほれ込んだQさんがデュオを組むように申込み、彼のプレーに惚れこんでいた遠藤君も直ぐにOK、この年令の差50才以上の、奇妙にして微笑ましいデュオ・チームが誕生、そのデビュー作が今回登場したのである。このアルバムではQさんは、数曲で初ボーカルも披露、決して上手くは無いが味のある旨いボーカルを披露、その豪放磊落なテナーと共に、聴く者を酔わせる。中でも東日本大震災復興に因んだ「地やけの歌」は素晴らしい出来で、「ライブでこの曲を歌うと客が涙するんだ...」と、彼自身少し自慢げに語ってくれた。スタジオでまさにQさんと孫の会話。話が四方に飛びパーソナリティーの山本アナも困惑していたが、そこは御年83才。自身の好きなように話を進め、昔の想いでも忘れてしまっていることも多かった。しかし味がある話で、ぼく自身近来になく愉しめた。皆様も是非アルバム、番組両方聴いてみて下さい。愉しめるはずです。放送は12月6日の予定です。
【今週の番組ゲスト:「トライスペース」のリーダーでピアニストの林祐市さんとCDレーベル「インパートメント」の西野孝さん】
M1『Nightfall』
M2『Morning Glow』
M3『Reaching The Sky』
M4『With A Smile』

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