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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.385~ジャズ講座ひばり】

 11月の初めに又々中野区公民館の依頼を受け初心者向けのジャズ講座を実施した。今年の春に数回行った(おばちゃん層が大部分)ジャズ講座、あまり知られていない戦前のジャズを俯瞰する、知らなかった日本のジャズが仲々の好評で、また是非お願いしたいという依頼。まあほとんどジャズに接したことのない妙齢のご婦人達を相手にジャズについて語るのも中々の重荷だが、「好評につき...」などと言われてしまうと、根っからのお調子者だけに無碍には断れない。どんなテーマに...と少し頭を悩ませたが、今回は「日本の人気流行歌手(演歌からポップス迄)が歌うジャズ」と言うことで、「流行歌手とジャズ~ひばりジャズから八代亜紀そして聖子ジャズ迄...」と言うテーマで、2時間の座学を引き受けることにした。ただぼく一人ではいささかキツイかな...とも考え、
かなり評判を集め売れ行きも良かったと聞く『聖子ジャズ』のプロデュースを担当した昔からの友人のジャズプロデューサー、川島重行氏にゲスト出演を頼み、話題の『聖子ジャズ』誕生の経緯、レコーディングなどを語ってもらうことにした。前回実施した、数回の講座は30人ほどの定員だったが、今回はスペシャル企画で部屋も大きく、70名を超す入場者を予定している...などと、主催者側からプレッシャーをかけられ、こちらもいささか緊張気味。

 
ところで、日本の流行歌手とジャズと言えば直ぐに思いつくのが、日本歌謡界の女帝、美空ひばり。「モダニズム・シティ」横浜で生まれ育ったひばりは、ギブ・ミー・チョコレート世代ながらも、英語は出来ないしジャズも勉強した訳では当然無いのだが、そこは歌謡の天才、その耳の良さを生かしジャズも実に上手い。デビュー(河童ブギと言う和洋折衷ブギナンバー)して数年、16才の時には既にドリス・デイが唄った「上海」や、あのデューク・エリントン楽団不朽の名作「A列車で行こう」を、素晴らしいスイング感と英語発音などで軽々と歌いこなしている。そして26才の時には、ジャズの銘品『ひばり、ナット・キング・コールを歌う』を発表、その素晴らしい力量をジャズファンにも印象付けているのだ。あの森田一義君=タモリも「ジャズシンガー以外でジャズが上手いなーと思った人は...」と言う質問に、「それはひばりさんですよ」と即答。16才のジャズデビューナンバーの圧巻の出来栄えを称賛している程で、彼の代表作日本TVの「今夜は最高」にも出演、そのジャズ才能を彼に強く印象付けたのだとのこと。

 今回の講座では、まずこのひばりと江利チエミ、雪村いずみと言う、戦後直ぐに大人気だったこの同い年の仲良し3人娘、彼女達が唯一取り上げた同じスタンダードソング「トゥー・ヤング」をクイズで出題。このナンバー実はチエミが14才、ひばり26才、いずみ76才の時のもので、それぞれの音源を合わせた架空セッションで、数年前にレコード大賞企画賞を取った雪村いずみの企画ものアルバムに収録されている仲々の珍品。またひばりとぼくのエピソード、と言っても小学生のころ彼女の日米合作映画の宣伝に駆り出されたことや、ラジオたんぱで正月特番として彼女の特番を組み、相手役に彼女がショウケン=萩原健一を選び、番組収録の際、局の廊下で彼の帰りをあの桃井かおりが待っていた(当時2人は付き合っていた)ことなどをエピソードとして紹介したりした。
 
女王ひばりの曲を数曲かけ、その後はひばりに並ぶ歌唱力の持ち主、ちあきなおみ、更に最近ジャズシンガーとしても結構売り出しを図ってる艶歌の女王、八代亜紀(銀座クラブ歌手時代はジャズを歌う)などの歌うジャズナンバーを紹介。最後は川島氏の話を交え、『聖子ジャズ』から数曲を紹介した。

 講座全体は女性歌手がメインだったが、これは男性歌手でジャズを印象的に歌った人はあまりいない為。しかし歌う銀幕スター、石原裕次郎&勝新太郎、この2大スターのスタンダードソングもご愛嬌に入れてみたがこれが好評。裕ちゃんの方はナレーション入りの裕次郎ムードジャズ歌謡「時が過ぎ行くままに」。これも情緒がありなかなかのものだが、歌の巧さでは遊びを知り尽くしたカツシンの方(サニー)に軍配を上げる。なおこの2人のジャズアルバムは、今は1万円近い高値が付いているとのこと。


 まあこんないささかゲテモノ(?)風ジャズ企画だったが、会場はかなりな受け具合。「亜紀ちゃんいいはねー」とか「
流石ひばりさん!」などと、"青春時代を思い出して愉しかったと言うお褒めの言葉も数多く、またやって欲しいとの要望も多々。
やる方としてはかなり気を良くしたものだが、もう少しジャズの王道で...と反省点もしきり...。来年はもう少しまともな方向性も考えないと...と、今反省も兼ね思案中なのです。
【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富さん】
「クリスマス」をテーマに「ジャストーク」のお話をしていただきました。
M1White Christmas / Bing Crosby
M2White Christmas / Charlie Parker」
M3The Man I Love / Miles Davis
M4Santa Claus Is Coming to Town / Paul Bley
M5The Christmas SongAutumn Leaves / Mel Torme



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