「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.758~ロイ・ヘインズ~】
この年齢になるとかつてのぼくのジャズアイドル、ジャズジャイアンツの面々はもう殆んど残っていない。それだけにまだ生存のプレーヤーの名前を聞くのも、その人が亡くなった時...と言う、寂しいニュースが殆どである。そんな折また一人、ぼくのアイドルが消え去ってしまった。ドラマーのロイ・ヘインズ。11月半ばに逝去した彼、なんと享年99だった。
このドラムの巨星について本当に驚かされたのは、数年前にあるライブ映像を見た時。ヨーロッパのどこかのジャズフェスでの映像だった筈だが、その時彼は確か90何歳か...。それにしては手も良く動くしペダル技も抜群、確かにかつての豪放さこそ幾分影を潜めているとは言え、全身をフルに動かし、およそ90数歳のドラマーとは思えぬ元気さだった。一体彼は幾つまで...と、空恐ろしい感じすら持ったし、まさにドラムモンスターと言った表現がぴったりなステージだった。どうやらこの辺りから彼は第一線を引いてしまった様だが、年齢を感じさせないその凄まじさは、今でもはっきり目に焼き付いている。
元々はエラ・フィッツジェラルド、サラ・ボーンと言った、大御所シンガーのバックで名を成した人だけに、センスの良い鋭敏ドラマーとして知られていたが、その彼が野性派ドラマーでもあることをファンに印象付けたのが、ジョン・コルトレーのバンドにエルビン・ジョーンズのトラ(代役)として参加したライブアルバム。あの野生児エルビンをも凌ぐワイルドなドラミング...という事で、当時大きな話題を集め、以降の彼は硬軟両者を熟す匠ドラマーとして、多くのファンからその実力を認められることになる。
彼と言えばまず話題になるのは、やはりチック・コリアの代表作とも言われる『ナウ・ヒー・シングス...』(S・S)。ヘインズの死去のニュースが流れた折、日本のミュージシャンの多くがその追悼で取り上げていたのが、このアルバムだった。確かにここでの彼のドラミングには、その特徴でもある鋭敏さと野性味が実に見事なバランスを保って具現化されている。ぼくも大好きなアルバムだが、ロイで究極の1枚を...と言われれば、ぼく自身はすぐにあの多楽器を自在に扱う超人、ローランド・カークとの稀有なコラボレーションが聴かれる、『アウト・オブ・ジ・アフタヌーン』(IMP)を挙げる。「ムーン・レイ」「朝日のように...」と続く、ロイとカークの抜群の絡み、あから半世紀近く経った、今現在聴いても実に新鮮に響くジャズアルバムの絶品だと思う。途中「ロイ」「ヘインズ」とプレーヤーから声掛けがあるのも抜群で、この声を発しているのは、どうやらピアノの名手、トミー・フラナガンの様だが、好演奏に見事なハイライトを付け加える。ロイ・ヘインズ、後1年生きれば1世紀、真に幸せなドラマー人生だった...と思われる。心からの黙祷を!
【今週の番組ゲスト:ジャズボーカリスト 紗理さん♪】
ピアニストの若井優也さんとのデュオアルバム『Musical Theater Songbook Vol.1』から
M1「Bell(美女と野獣)」
M2「Promises,Promises(Promises,Promises)feat.石若駿」
M3「Climb Every Mountain(サウンド・オブ・ミュージック)feat.馬場孝喜」
M4「I Dreamed A Dream(レ・ミゼラブル)」




