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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.437~2人のミュージシャンの死】

 本来今回のコラムは、来月公開予定の音楽ドキュメンタリー映画「ピアソラ」について載せる筈だった。だがその記事を書き終わった時に知人から連絡があり、今日(11月14日)ピアニストの佐山雅弘が亡くなったと言う。いつか来るとは思っていたが、新作『ブリッジ』を今年の2月に吹き込み、そのアルバムも夏に発売になったばかり、また久しぶりにスタジオに遊びに来てもらいたい...、などと考えていた矢先だけに吃驚した。前日にはサックスの片山広明が亡くなったばかり。2日連続で知り合いのジャズメンが亡くなってしまった訳で、これは彼らの追悼を...と言うことで、急遽原稿を書き直すことにして、『ピアソラ』は次週に廻すことにした。

 
佐山は享年64才、片山の方は67才。2人と知り合ってからもう30年を優に超すが、片山とはほんの知り合いと言った付き合い。あの西荻窪の産んだ天才&鬼才ピアニスト、アケタこと明田川荘之を通しての付き合いで、西荻の飲み屋で3人で一度飲んだぐらいなもので、番組に来てもらうと言う約束になってはいたが、残念なことに結局実現せずに終わってしまった。一方佐山の方は、新譜が出れば顔を出してもらうと言った具合で、3~4年に1回はスタジオに遊びに来てくれたのだと思う。最後に顔を出してくれたのは、2年ほど前に発表した、ベースの藤原清登との好デュオによる前作を携えてのことだった。この時は癌の手術後で久しぶりに酒も飲めそうだ...と言うことで、収録後は山本嬢と同行していたキングレコードのMディレクターも交え、虎ノ門の升本に向かいかなり痛飲した覚えがある。その時には冗談で「山本嬢のヌード写真集でも出せばベストセラーになるな―」などと言う話になり、大阪尼崎出身の佐山氏も軽いノリで冗談めかし、「その時にはぼくも音楽で是非参加させてもらうよ...」等と悪酔いしていたが、今考えれば本当に楽しいひと時だった。 

 今回山本嬢から彼の最後のメッセージと言うものを見せてもらったが、「この手紙をお届けする時には、もうぼくはこの世におりません...」と綴られた、涙無しには読めない感涙もののメッセージ。関西人らしく何時も飄々と軽やか、洒脱でもあった才人佐山氏らしさがよく出た秀逸なもの。佐山も片山も大の酒好きだったが、佐山氏の方は最後はもう一滴も飲めない状態、一方片山氏の方は酒が遠因で死を迎えた...とも言われる。才人と野人、人間としても対照的だったし、その志向した音楽もいい意味で対照的だった。佐山氏の方は川崎ミューザと言う大ホールの音楽監督や、川崎市にある2つの音楽大学ジャズ科でも主任として才を揮っていた。一方片山は生涯一プレーヤーとして、ライブ現場にこだわっていたように思う。それも酔っ払いの達人サックス奏者として...。佐山氏の死は新聞などでもかなり大きく報道されたが、一昔前のジャズ人を体現化した様な片山氏の方は、そんなことは無かった。だがヤフーなどではいろいろと記事も出て、その隠れた人気の高さにいささか吃驚だったが、それもそのはずで彼はあの忌野清志郎~RCサクセション、そして一部で熱狂的ファンを有する渋さ知らずのメンバーでもあったのだ。ヤフーの追悼欄では」「あの酔っ払いのサックスおじさん、本当に格好良かったし、凄かったね...」と言った若い人達の追悼・賛辞の声が多く見受けられた。ぼくが彼の一番好きなナンバーは、大分以前に解散してしまったツインサックスチーム「デガショー」のデビュー作に収められていた「サンライト・ツイスト」、イタリアのヒットポップスのジャズバージョンだが、J-ジャズ至高の1曲でもある。

 「マサちゃんズ」はじめ様々な人気ユニットで大活躍、川崎市の音楽監督やバッハのインベンション・アルバムまで吹き込んだ、多彩な才人にして趣味人、佐山雅弘の逝去ニュースには、多くの有名人・文化人、音楽関係者などが追悼の言葉を捧げており、ぼくも早速彼の家族宛てに追悼電報を送ったが、葬儀は家族葬で行い後日偲ぶ会を開くと言う。その偲ぶ会には是非出席しないと...。 再度佐山、片山、両氏の霊に黙祷!

【今週の番組ゲスト:音楽評論家の青木和富先生】
今週はジャズトーク
M1「Pegasus / Wayne Shorter」
M2「New Year / Joshua Redman」
M3「星めぐりの歌 / 福盛進也」
M4「Where The River Goes  / Wolfgang Muthspiel」
M5「Hats Off To Rebay  / Joey Calderazzo」
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