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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日22:00-などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.177~鬼武みゆきさん~】

 2011年3月の東日本大震災。音楽家達もこの無類の大震災に心を痛め、被災者の為の支援コンサートを行ったり、亡くなった方達の追悼アルバムを出したりなどと、様々な活動を行った。そんな幾多ある震災関連アルバムの中で、ぼくが最も感動したのが、シンガー・ソング・ライターの畠山美由紀の『わが美しき故郷よ』だった。彼女は被災地、気仙沼の出身で、学生時代の友人たちも何人か亡くなっている。そこでは故郷への思いを「わが美しき故郷よ」と言う詩にして、朗読の形で綴っており、心に沁み込む語りを聴かせている。そのバックでピアノの伴奏を付けているのが鬼武みゆきで、その伴奏がまた哀切感を静かに高めてくれている。

 その鬼武さんだが、東京理科大数学科卒業という異色のジャズ・ピアニスト&作曲家。これまでに4枚のアルバムを発表しており、スタジオにも遊びに来てくれたことがあるが、新作は『ハッピネス・イズ~ひとつひとつの毎日、それぞれの明日』である。ハッピネス・イズ...、幸せとは...と言う意味合いだが、これは彼女が大震災後に自分も何かできることを...と考え、生きる素晴らしさ=ハッピネスについて、様々な人にインタビューし短いコメントをもらい、その模様をショート・ムービーとしてネット配信し続けているのだが、その映像に付けた音楽をアルバムの形に結晶させたもの。ユーチューブの映像配信では、音楽は彼女のピアノだけだが、アルバムではそれを完成形として、中西俊博や赤木りえ等と言った素晴らしいミュージシャンと共に演奏している。アルバムのナンバーは、彼女がインタビューした方達から得たインスピレーションを音にしたもの。鳥越俊太郎、余貴美子、岸恵子、柳生博などその顔触れは多彩で、その音楽も様々な色合いを持ち、鬼武と言うピアニスト&作曲家の新しい一面を指示している。「喜びや悲しみ、愛と怒り、様々な心の風景が一曲ごとに見えてくる。幸せな色のプレゼントだ」と鳥越氏はこのアルバムを評しているし、余さんは「わたしの大切なものが増えた。人の営みが感じられて心温かくなる。みんなに想いが届きますように...」とコメントを寄せている。

 鬼武さんの想いが詰まったこのアルバム。一人一人との出会いについて彼女が番組で熱く語ってくれているが,こうした地道な活動を続ける彼女。実に知的で素敵な女性です。彼女の放送は現在再放送中です。

【今週の番組ゲスト:トランペッターの類家心平さんとT5ジャズレコーズのプロデューサー清水正さん】
11月20日にリリースされる類家さんの3rdアルバム、『4AM』から3曲ご紹介しました。
M1『KARAGI』
M2『HAOMA』
M3『4AM』

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