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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.326~インターナショナル】

 「立て飢えたるものよ、今ぞ日は近し。
醒めよ我が同胞 暁は来ぬ。(中略)いざ戦わんいざ、奮い立ていざ、ああインターナショナール 我らがもの...」。通称・インター、正式名「インターナショナル」の歌詞(訳詞)である。先週「オフノート」レコードの代表神谷一義さんが番組に登場、オフノートの歴史について話してくれた時に掛けた1曲に、この「インター」があった。沖縄民謡の代表的歌手の一人、大工哲弘さんがジンタの調べに乗せて歌った異色ナンバーで、収録アルバムは90年代後半に出された『ジンタ・インターナショナル』。このジンタとはチンドン屋音楽(今また見直されつつある)の前身のようなもので、明治半ばから大正にかけて街の商店やサーカスの呼び込みを行う楽隊音楽のこと。そのジンタは何とも懐かしい哀愁の調べを持っているが、そこで歌われるのがインターだと言う所がミソなのだ。

 
この「インタ―」、ぼくらやそのすぐ下の団塊世代ではよほどの政治音痴以外は、一度は耳にしたことがある歌で、19世紀に作られ以後綿々と歌い継がれてきた労働歌~労働運動歌である。かつては大学構内やデモ行進などでも良く聞かれたもので、世界中で歌い継がれて来た筈だが、山本郁アナは全くその存在を知らず、あの高速道路のインターと勘違いする有様。もう大きく時代が変わってしまったもので、今巷でもでもデモ行進などを見かけることも無くなってしまったのだから、彼女がインターナショナルなどと言った歌の存在も知らないのも至極当然なのかも知れない。この余りの世代差いささか不思議に思い局の若い連中にも聞いてみたが、50代以下でこの歌の存在を知っていたのは一人もいなかった。

 
ただこのメロディーはかなり印象的なものなので、自由とか人権と言った事象・用語に強い関心を寄せるジャズミュージシャンは、時々このメロディーをジャズにアレンジして演奏したりもしており、それはほとんどが問題意識の高い欧州のミュージシャン達のようでもある。その代表格がイタリア出身でわが国でも人気の高いピアニスト、ジョバンニ・ミラバッシ。彼のアルバムにこうした労働歌や連帯歌ばかりを集め、それをジャズにアダプテーションした好アルバムがあり、ぼくも大好きな1枚だが、それ以外でもフランスなどのミュージシャンのアルバムでも時々聞かれることがある。大工哲弘のアルバムでは、バックに梅津和時や中尾勘二など尖がった音楽を演奏(彼らはあの「あまちゃん」の音楽で大ブレークしたあの大友良英と一緒にやっていたりもする面々だけに)、このジンタも懐かしのジンタながら、実にシャープでアバンギャルドかつモダンな響きを有しており、是非皆様にも聞いて欲しいものでもある。
 「
いざ戦わんいざ、奮い立ていざ、ああインターナショナル我らがもの...」埋もれてしまった自由への戦いの歌であり、屈指の名曲の一つだとぼくは思います。
【今週の番組ゲスト:ベーシストの安ヵ川大樹さん】
M1「Gentle Breeze
M2「My Bebop Tune
M3「Will」
M4「shinkirou

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