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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日22:00-22:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.226~気になるボーカリスト~】

 このコラムでも再三書いているのだが音楽アルバムが売れず、ジャズも当然例外でない。ジャズの場合、メジャーはもうほとんど無い訳だがその担当者、そして多くのインディーズの担当者も兼オーナー達。彼らも異口同音に溜息ばかりだ。そんな中にあってアルバムがコンスタントに出され、新人も次々に登場と言う一見不思議な活況を呈しているように見えるのが、ボーカルの世界。どうもジャズボーカリストを目指し、ボーカル教室に通う女性も少なくないようで、そうした女性が少しライブハウスなどに出だすとなると、名刺代わりにアルバムの1枚でも...、という気持ちになる。思い切りの良い最近の女性達は軽やかにその願いを実行に移し、アルバムが次々と登場...、というがその実態だ。しかしそうしたアルバムのほとんどは、ジャズボーカルの形をなぞった不出来なものも多く、評価に値しないものも少なくない。玉石混交と言われるが、かなり石が多い最近のボーカルシーンだが、中には「玉」に値する好資質もいる。

 そんな一人が今週番組に登場する情家みえ。
 この秋、初アルバムをインディーズから出したばかりの新人で、ぼくも今回初めてその存在を知ったのだが、番組パーソナリティーの山本郁から「なかなか良いから聴いてみてくれません...」と手渡されたのが、そのデビュー作『シングス・バラード&アザー・ラブ・ソング』。どうせまた...と思ったのだが、興味を持ったのは隠れた逸材~ピアノの後藤浩二(番組にも以前登場)とのデュオアルバムだという点。デビュー作で実力派ピアニストとのデュオ作とは、かなり思い切った企画なので、聴いてみるとこれがびっくり。自身でなぜジャズを歌うかについて「1曲1曲に心から共感し、心が震えるから...」と答えてくれたが、まさにその通りの心が震えるさまが、後藤浩二の秀逸なピアノと共に見事に描き出されている。歌の芯をずばりと抽出したような見事な歌唱。すっかり感心してしまい、さっそくスタジオに来てもらうことにした。四国の宇和島出身で、情家と言う珍しい名字は全国でもほとんどいないと言う。そして何より歌を志し東京に出て来てバイトをしたのが、南青山の有名ジャズスポット「ボディー&ソウル」。これが幸運で、そこの名物ママ京子さん(関京子)に実力を認められステージを務めることになり、そこで知り合った後藤氏にアルバムの話をすると、とんとん拍子にレコーディングに至ったと言う。まさにジャズ界のシンデレラガール。それも充分な力量を備えたシンデレラなのである。この番組を機に大きく羽ばたいてほしい素晴らしい素材で注目の新人。 
 
 

 そして海外での注目新人と言うと、今話題のブルックリン派の新星ベッカ・スティーブンスという事になるだろう。先週放送の高木氏が始めた新レーベル「コア・ポート」の1枚として紹介している彼女。セロニアス・モンク賞を受賞し、新たなジャズボーカルの地平を拓きつつある俊才、グレッチェン・パーラト(2004年受賞で番組にも遊びに来てくれている)に次ぐブルックリン派の逸材で、ジャズのテリトリーとコンテクストを大きく広げつつある大注目の存在。その彼女の『パーフェクト・アニマル』。こちらも是非聴いて欲しい作品です。

【今週の番組ゲスト:ジャズシンガーの情家みえさん】
M1『ON THE STREET WHERE YOU LIVE』
M2『HOW DO YOU KEEP THE MUSIC PLAYING』
M3『I WON'T DANCE』
M4『SO IN LOVE』

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