「19日は世界株安、米国10年債利回りは急低下」
「感染者拡大で世界景気動向を警戒」
「イングランドの規制解除、世界的な関心」
「キヤノンの今12月期、大幅な上方修正」
週明け19日月曜日の米国株は下げました。ニューヨークダウの下落率は約2%、ナスダック総合指数は約1%、S&P500種指数は約1.6%でした。
新型コロナウイルス感染者が再び増加しています。世界景気の回復にブレーキがかかるとの見方から、先週末から世界の株価が下がっています。19日は、ヨーロッパにおける各国の株価指数も、総じて2%を超える下落率となりました。
景気動向に敏感な株の下落率が高くなっています。ニューヨークダウ採用銘柄の下落率上位を見ると、1位が航空機メーカーのボーイングで、4.9%の下落率となっています。2位がアメリカン・エクスプレス、3位は航空機部品等のメーカーのハネウエル、4位化学メーカーのダウ、5位ディズニーとなっています。
ニューヨークダウ採用銘柄は全銘柄が下げていますが、下落率の最も低かった株はP&G、次がウォルマート、その次がセールスフォースドットコムでした。エネルギーや資本財、素材などの景気敏感株の下げが大きく、日用品、IT、半導体関連株は相対的に下げが小さくなりました。
10年債の利回りは、先週末の約1.3%に対して0.1%以上も低下して、1.17%台を付ける場面もありました。金利が急速に低下しています。原油価格は急落、原油先物市場は一時8%以上も下げました。
債券が猛然と買われ、原油の下落率が大きくなり、世界的に景気敏感株の下げがきつくなっているのですから、マーケットは、今後の景気が悪くなって、企業収益が落ちていくことを心配していることになります。コロナウイルス感染者が再び増加して、人々がこれまで考えていたような経済の回復が実現しないのではないかとの警戒感が生じています。
イングランドでは、イギリスにおける1日の感染者が再び5万人を超える状態(日本は19日は2300人台です)の中で、感染対策規制が撤廃されました。ロンドンのナイトクラブでマスクを着けずに楽しんでいる人々の姿が、日本でも報じられています。「感染者の数は増加しているけれども、ワクチン効果によって重症者や死者の数は増えていない」とのデータが規制の撤廃を後押ししました。
今後の株価動向は、世界経済の拡大が順調に進むか、が焦点になります。イギリス政府が決断したように「ワクチン接種によって感染者の重症化は防げることが確認されたので、感染者の増加を乗り越えて、経済は拡大していく」という路線を世界が進むならば、株価は再び上昇して、債券の利回りも底打ちの場面を迎えます。
しかし、「ワクチン接種率が世界的にはなかなか上昇しない。あるいはワクチンを接種しているにもかかわらず、重症化する患者は増えてきて、世界的に景気が停滞してしまう」という状態になれば、19日に見られたような、株安・債券高場面が増えてきます。
今日の日本株の動きは世界的にも重要だと思います。キヤノンの上方修正、株価の反応が焦点です。
キヤノンは19日、2021年12月期の連結営業利益について、従来見通しの1980億円に対して、2830億円に上方修正しました。42%の上方修正です。家庭向けのインクジェットプリンター、デジタルカメラ、半導体露光装置等の需要好調が追い風となっています。
家庭向けのインクジェットプリンター好調の理由と、少し矛盾するかもしれませんが、オフィスに出社する人が増えてくることから、今後はオフィス市場のプリント需要の回復も見込まれるとしています。在宅勤務や在宅学習の増加で家庭向けの需要が作り出されたほか、冷え込んでいたオフィス関連の需要も戻るということでしょう。
キヤノンの予想1株利益は192円となりました。19日の終値は2479円でした。予想PERは12.9倍まで低下します。
この上方修正を受けて、株価が上昇すれば、日本企業の株価全体にとっても、良い話です。仮に株価が上がらないと、けっこう、話はややこしくなります。大幅な上方修正が発表されたのに株価が上がらなければ、「2022年以降の業績が伸びないからこそ、株価は上がらないのだ。PER12倍台の株価は、来年度以降の成長期待が薄いことを示している」との見方も検討しなければなりません。
キヤノンの業績水準が近年では高かった2018年12月期の決算を見ると、売上高が3兆9519億円、営業利益が3429億円でした。売上高営業利益率8.6%です。それに対して今年度の計画値は売上高3兆6000億円、営業利益2830億円で、売上高営業利益率7.8%です。まだ、本格的な業績回復とは言えない水準でしょう。
焦点は来年度の業績動向です。例えば、2022年12月期の売上高が4兆円、営業利益で4000億円をイメージできるようになるのならば、株価は上昇します。しかし、来年度増益に対して自信が持てなければ、先述のようにPERが上がらない展開を覚悟しなければなりません。
19日には、電子部品メーカーのKOAも4-6月期の営業利益の見込み値を従来の10億円に対して19億円に上方修正しました。抵抗器のメーカーとして知られています。抵抗器は電力の流れる量を調整する電子部品で、ハイブリッドカー等に多く採用されている電子部品です。今回の上方修正は、産業機器向けの需要増加が要因とされています。
要は、4-6月期の決算動向は好調な状態が確認されたとして、今年度通期も来年度も業績が拡大を続けるならば、株価は上がる、来年度の業績が停滞するならば、株価は上がらない、そんな段階に入っていると考えています。











