「米国市場でTSMCの株価5%下落」
「利益面の伸び悩み嫌気」
「TSMC7-9月期売上は4-6月期比10%以上の増加へ」
「サプライチェーン回復を示す経済指標も」
15日の米国株は全体的には小幅安でした。ニューヨークダウは0.1%の上昇となりましたが、ナスダック総合指数は0.7%下落しました。S&P500種指数は0.3%の下落。そして、小型株の値動きを示すラッセル2000は、0.5%の下落でした。ラッセル2000は3日続落しています。3日間累計の下落率はおよそ4%です。今週の米国株式市場では、小型株の動きの悪さが目立ちます。
15日には、台湾の半導体メーカーで受託生産世界トップのTSMCから4-6月期の決算が発表されました。そのTSMCの株価が15日の米国株式市場では、117.53ドル(前日比−6.86ドル)と5.5%も下落しました。TSMCの株価下落が半導体関連株全般の下落につながり、ナスダック指数の下げをもたらしました。
TSMCの4-6月期売上高は132億ドルと前年同期比で28%、1-3月期比で2.9%の増加となりました。台湾ドル建てでは、前年同期比19.8%増加、1-3月期比2.7%の増加です。
売上高状況については、月次売上高が既に公表されているので、材料にはなりません。問題は利益面でしょう。台湾ドル建ての利益は前年同期比11.2%増益、1-3月期比では3.8%の減益となりました。売上高に対して利益の伸びが鈍くなっています。1-3月期との比較では売上高が増えているのに、利益は減少しています。
TSMCは1-3月期88億ドル、4-6月期59億ドルと、6か月で148億ドル(日本円換算1兆6000億円)の巨額投資を行っています。足元の決算では、投資負担が利益の伸びを抑制しています。
16日付の日本経済新聞には「インテル、TSMCの米補助金に異議」という見出しの記事が掲載されています。そのあたりも、TSMCの米国市場における株価動向に影響を与えた可能性もあります。TSMCの株価大幅下落の影響は、本日の東京株式市場でも意識されるでしょう。
もちろん、TSMCの巨額投資は昨日に明らかになった話ではなく、同社が3年間で1000億ドルの投資を行う計画は、既に広く認識されています。巨額投資に対して警戒感が出ていることは、TSMCの株価が2月12日に142ドルの最高値を付けた後、下落していたことからも明らかでしょう。投資負担による当面の利益伸び悩みは、TSMC固有の問題ではあっても、半導体業界や世界の産業界の動向にとって、本質的な問題ではありません。
TSMCは7-9月期の売上高として、146億~149億ドルの見通しを発表しました。下限の数字でも、4-6月期と比べて約10%の増収となります。3か月の期間における増収率を見ると、7-9月期の半導体供給量が増加して、世界の産業界における供給問題を和らげる要素になると考えられます。
FRBが15日発表した6月の鉱工業生産指数は、前月比で0.4%の上昇となりました。「自動車、自動車部品」は前月比6.6%の低下、「電気製品」も2.2%低下しています。6月の自動車産業の生産が半導体不足の影響を受けていることがわかります。だからこそ、TSMCの7-9月期の供給量増加の意味は大きい訳です。
15日には、ニューヨーク連銀とフィラデルフィア連銀から7月の製造業景況調査の結果が発表されました。主要景気指数は以下の通りです。(カッコ内は前月比)
現状 先行き
ニューヨーク連銀 43.0(+25.6)39.5(-8.2)
フィラデルフィア連銀21.9(-8.8) 48.6(-20.6)
興味深いのは、フィラデルフィア連銀の先行き(6か月先)の景況指数です。48.6という数字は(上がる=58.3%、下がる=10.3%)の回答結果なので、先行きについて強気な見通しが主流にある点は変わりません。ここで特に注目されるのは、先行きの「配達時間」の項目が、6月の「20.6」が7月に「-10.4」に変わっていることは注目されます。6か月後の「配達時間」について、長くなると見ている会社19.5%に対して、短くなると見ている会社は29.9%になりました。つまり、6か月後は配達時間が短くなり、サプライチェーン問題が回復に向かうと見る会社が主流派になりました。7-9月以降の半導体供給量の増加を示すデータの1つになります。











