「米国10年債利回り、一時1.47%台前半に低下」
「中国5月生産者物価、高い伸び」
「一方で、消費者物価の伸びは限定的」
9日の米国株は小幅安となりました。動きが目立ったのが債券市場です。債券は買われ、10年債利回りは一時、前の日よりも0.05%強低い1.472%まで低下しました。5月7日に悪い雇用統計を受けて付けた水準(1.471%)とほぼ並びました。
10日の米国時間朝には5月消費者物価指数の発表を控えています。インフレを測る重要指標の発表を控えるタイミングです。しかし、債券利回りは約1か月ぶりの低水準に挑戦している状況です。5月の物価が上昇しても、それは一時的な現象と捉えているように見えます。
でも、現実的に物価が上昇しているので、それが産業界、企業収益にどんな影響を与えるのか、考える姿勢が求められます。
9日には中国の5月物価指数が発表されました。消費者物価指数と生産者(卸売)物価指数との間に、大きな差があることが明らかになりました。
5月の中国消費者物価指数は穏健な数字です。前年同月比で「+1.3%」、前月比で「-0.2%」となりました。月次の「前年同月比」の数字を以下に示します。
1月 −0.3%
2月 −0.2%
3月 +0.4%
4月 +0.9%
5月 +1.3%
消費者物価指数の項目別の前年同月比伸び率も以下に示します。
豚肉 −23.8%
食用油 +8.1%
水産品 +13.8%
玉子 +14.3%
交通用燃料+21.3%
衣料品 +0.4%
一方で、5月の中国生産者物価指数は極めて高い伸びになりました。前年同月比で「+9.0%」、前月比で「+1.6%」です。こちらも今年に入ってからの前年同月比での伸び率を以下に示します。
1月 +0.3%
2月 +1,7%
3月 +4.4%
4月 +6.8%
5月 +9.0%
足元で生産者物価の上昇が加速しています。産業別の物価上昇率(前年同月比)を以下に示します。
燃料 +20.7%
化工原料 +17.0%
石油・ガス探索産業 +99.1%
自動車製造業 -0.7%
鉄採掘 +48.0%
非鉄金属採掘 +16.7%
鉄鋼製錬 +38.1%
非鉄金属製錬 +30.4%
化学・繊維 +18.4%
鉄鋼と非鉄金属の価格上昇が目立ちます。採掘と製錬に分けて見ます。鉄鋼は川上の採掘分野の価格上昇が48%と、加工(製錬)の38%より高いことがわかります。一方で、非鉄金属は川上の採掘よりも製錬の上昇率の方が高くなっています。鉄鋼と非鉄で価格転嫁の状況が異なります。そして、自動車製造の価格は上昇せず、下落しています。
生産者物価が高い伸びを示し、消費者物価の伸びは低い、鉄鋼業界の物価は上がっているのに自動車業界は上がっていない、この数字を見ると、消費者に近い分野では価格転嫁が進んでいない状況が浮かび上がります。
物価の上昇は基本的に企業収益にはプラスの要因です。しかし、消費者により近い産業で価格転嫁が進まない状況になると、自動車や家電などの最終商品を供給している企業の収益圧迫につながります。
本日10日には、ECB理事会が開催されます。3月の会合で「4-6月期は資産買い入れのペースを拡大させる」と発表して、3か月が経過しました。欧州経済の回復を受けて、7月以降の資産買い入れペースについて、どんな考え方が示されるか、注目されています。











