「米国4月CPI急上昇」
「米株は寄り付き小幅安、その後、下げ幅を広げる」
「様々な仮説を組み立てる」
12日の米国株は下げました。ニューヨークダウの下落率は約2%、ナスダック総合指数は2.6%となりました。
4月の米国消費者物価指数が発表されました。総合で前年同月比+4.2%となりました。予想平均が+3.6%ということでしたので、予想を上回る数値となりました。「エネルギーと食品を除く」=コアCPIも+3.0%と、高い伸びでした。「前年同月に原油価格が大きく落ち込んだ反動」を除いても、米国の物価は高い伸びを示していることになります。
前月3月との比較でも伸びは加速しています。前月比では総合が+0.8%、コアCPIでも+0.8%の伸びとなりました。前月との比較で+0.8%とは、前年同月比の伸びよりも、よりサプライズが大きい数字です。
項目別の物価動向を見てみましょう。
前年同月比 前月比
食品 +2.4% +0.5%
ガソリン +49.6% +2.0%
電気代 +3.6% +1.0%
アパレル +1.9% -0.1%
新車 +2.0% +0.4%
中古車 +21.0% +9.6%
住居 +2.1% +0.4%
航空運賃 +9.6% +13.1%
エネルギー以外では、中古車、航空運賃の物価上昇率が特に大きくなっています。移動をする人が増えると自動車に需要が増えます。航空運賃にはもっと顕著にそれが表れています。
中古車の価格が急上昇しているので、今後、中古車と比べて割安感が強く出てくる新車の需要が増加すると考えられます。航空運賃の急上昇も前向きに評価するならば、経済再開の本格化に自信が深まっていることを示します。
でも、米国株価は下げました。細かく見ると、朝の消費者物価指数の予想を上回る伸びを見て、すぐにドーンと株価が下げた訳ではありません。
12日は、ニューヨークダウもナスダック総合指数も、寄付きは小幅安で始まりました。つまり、CPIによる悪影響は限定的だったのです。その後、取引時間中にだんだんと売り物が優勢になって、引けにかけて、下げ幅が拡大したとの構図にあります。日中足を見ると、それが確認できます。
10年債の利回りも同様な動きです。CPIを受けた直後は1.61%台で取引されていて、それがだんだん上昇して1.69%台で米国の夕方を迎えました。CPIがマーケットにショックを与えたわけではなく、CPIを材料に、だんだんと株安、債券安が進んだという1日になります。
日本と同様に、半導体関連株の下落が大きくなっています。TSMCは4.1%安。108ドル台の株価で、高値142ドルに対して24%も下落しています。AMAT(アプライドマテリアル)は7%も下げて、こちらも高値から21%も下げています。
インフレ色が強くなる中で、10年債利回りの上昇が限定的ならば、実質金利(10年債利回り-インフレ率)はマイナスになります。実質金利がマイナスの時期は、株式を取得することが有利といえます。しかし、株価は下がっています。
この株安が続く場合の仮説としては、
➀これから長期金利が上昇して、株式を購入することが得ではなくなる。
あるいは、
②インフレ色の高まりは一時的で長期金利も上昇しない。しかし、それは景気拡大が予想以下にとどまるためであり、株価は景気拡大が予想以下にとどまることを警戒している。
などがなります。
もちろん、株安が続かないケースでの仮説も考慮することが必要です。
その場合、今、起こっていることは、半導体関連株から景気敏感株等に資金がシフトする中での一時的な混乱という考え方もできます。さらには、景気拡大が予想以下にとどまるならば、今後は債券の利回りは急低下するだろうから再び金融相場的な色彩が強まるとのシナリオも考慮すべきでしょう。
色々な可能性を常に考慮しながら、マーケットを見ていきたいと思います。基本的には、株式を運用対象として無視するような投資環境が訪れるとは考えていません。米国の先物市場の水準を見ると、本日も朝の段階では売り物が先行しそうですが、寄付きの安い位置を買おうと考えている投資家は昨日よりも多くなると考えています。











