「16日の空売り比率40%割れ」
「3月9日も38.8%、10日から株価急落」
「昨年12月15日も38.8%、その後に日経平均大幅安」
「値上がり銘柄数<値下がり銘柄数」
5月17日の日本株は上昇しました。日経平均は3万円に乗せました。
主力大型株に対する買いが膨らんでいます。前引け段階の東証規模別株価指数を見ると、
大型 +0.44%
中型 +0.16%
小型 -0.19%
となりました。時価総額の大きい銘柄の動きが相対的に強くなりました。海外投資家の活発な買いが大型株に入り、日経平均やTOPIX等の主要インデックスを押し上げています。一方で、ここまで上昇してきた小型株については、個人投資家の利益確定売りが優勢になるケースも多いようです。
海外投資家は何故、日本株を買っているのか?
- バフェット氏の日本株購入が広く認識され、日本株をグローバル投資家が増えた
- 低PBRからの離脱を目指す企業が増え、日本企業の経営改革に対する期待が高まった
- 米国や韓国との関係性強化を受け、日本におけるモノ作りが盛況になり、日本企業の中期的展開力に対する期待が高まった
こんな観点から日本株が評価されていれば心強いですね。
しかし、本日のソフトバンクグループやレーザーテックの上昇を見ると、ショートポジションを取っていた海外投資家の買い戻し効果も大きいようです。
全体の売買代金のうち、買戻しの比率を示すデータはありません。しかし、空売りの動向を示すデータはあります。16日の空売り比率は39.5%でした。
空売り比率40%割れは、3月9日の38.8%以来の現象です。その時は、翌日3月10日にシリコンバレー銀行ショックが起きて、日本株は大幅安に転じました。
その前の40%割れは12月15日の38.8%でした。その時も、日銀の政策変更等がショックとなって、日本株は下落に向かっています。
昨年12月、今年3月とも、空売り比率40%割れが、株価の戻りのピークで発生しました。
12月と3月の2つだけのサンプルを根拠に今回も今がピークと見るのは無理があるかもしれません。しかし、買い戻しの勢いのピークが株価のピークにつながるならば、空売り比率の40%割れが買戻しのピークを示す現象との仮説も頭の中に置いておきます。
☆
信用取引を活用する投資家は、買いポジションを減らす一方で、売りポジションを増やしています。
買い残 売り残
4月7日 1436億円増加(2週ぶり増加) 675億円減少(2週連続減少)
14日 655億円減少(2週ぶり減少) 867億円増加(3週ぶり増加)
21日 8400万円減少(2週連続減少) 360億円増加(2週連続増加)
28日 164億円減少(3週連続減少) 378億円減少(3週ぶり減少)
5月12日 664億円減少(4週連続減少) 784億円増加(2週ぶり増加)
信用買い残は4週(大型連休の時期あり)連続で減少しています。また、16日現在の日本証券金融の貸株残速報値は3231億円と、9日の2829億円に対して14%増加しています。買いポジションが閉じられる一方で、新規売りのための貸株のニーズが増えています。
決算発表がほぼ終了し、新年度の利益見通しが固まりました。以下に示します。
4月 日経平均 予想PER 予想1株利益
17日 28514円78銭 13.63倍 2092円
18日 28658円83銭 13.73倍 2087円
19日 28606円76銭 13.74倍 2082円
20日 28657円57銭 13.73倍 2087円
21日 28564円37銭 13.67倍 2089円
24日 28593円52銭 13.66倍 2093円
25日 28620円07銭 13.61倍 2102円
26日 28416円47銭 13.51倍 2103円
27日 28457円68銭 13.65倍 2084円
28日 28856円44銭 13.69倍 2107円
5月1日 28658円83銭 13.73倍 2087円
2日 29157円95銭 13.67倍 2132円
8日 28949円88銭 13.69倍 2114円
9日 29242円82銭 14.08倍 2076円
10日 29122円18銭 14.52倍 2005円
11日 29126円72銭 14.42倍 2019円
12日 29388円30銭 14.49倍 2028円
15日 29626円34銭 14.51倍 2041円
16日 29842円99銭 14.17倍 2106円
一時14.5倍まで上昇した予想PERは14倍台前半まで低下しました。日経平均を予想PERで割って算出される予想1株利益は約2100円です。決算発表前と比べて、ほぼ横ばいです。
新年度業績見通しは、もっと悪化する可能性を警戒していたけれども、さほど悪くはならなかった、株主還元姿勢を強化してPBR上昇を経営目標に掲げる企業が増えたことで、買戻しを含めた買いが優勢となった、それが決算発表時における株価上昇のメカニズムです。
5月17日午後3時10分記