「26日のニューヨークダウは約1000ドルの下落」
「ナスダック指数は約4%の下落」
「ジャクソンホールのパウエル講演、株価を引き下げる」
「The historical record cautions strongly against prematurely loosening policy.」
「"歴史的な記録は、時期尚早の金融緩和策に対して強く警告する"」
先週の26日金曜日の米国株は大きく下げました。ニューヨークダウはおよそ1000ドルの下落となりました。ナスダック総合指数については、およそ4%の下落率です。
ジャクソンホールにおけるパウエルFRB議長の講演内容に高い関心が集まっていました。パウエル議長は、物価上昇を抑制するための金融引き締め策をしばらくの間、続けることを強調しました。
FRBのHPには、パウエル議長の発言内容が掲載されています。以下に発言内容のポイントを引用します。
「Restoring price stability will likely require maintaining a restrictive policy stance for some time. The historical record cautions strongly against prematurely loosening policy.」
「物価の安定を取り戻すためには、しばらくの期間において、制限的な金融政策の維持が求められる。歴史的な記録は、時期尚早な金融緩和策を強く警告している」
米国株式市場は、今年のうちに金融引き締め策はヤマ場を越え、来年の3月くらいには金融緩和策が始まるのではないか、との期待を抱いて推移してきたように見えます。しかし、今回のパウエル講演内容には、辛抱強く金融引き締め策が維持されて、マーケットが考えているような金融緩和策は当分実現しないだろうとの考え方が示されています。
パウエル講演では「現在の高いインフレ率は、"強い需要の制約された供給"によってもたらされている」としています。そして「FRBの政策は需要に関連して行われます」と続けています。
インフレ率抑制の目的のために、需要に対して政策を発動する。つまり、FRBは需要を弱めることによって、インフレ率を抑制させます。需要を弱めて物価上昇を抑制するということは、景気や企業業績の悪化と引き換えに物価上昇を抑制することになります。
パウエル講演によって、マーケットは、今後の景気悪化のリスクを再認識しました。そして、金融引き締め策が遂行される期間が、従来の想定よりも長めになることに準備する必要性を認識しました。
パウエル講演は以下の文章によって締めくくられています。
「These lessons are guiding us as we use our tools to bring inflation down. We are taking forceful and rapid steps to moderate demand so that it comes into better alignment with supply, and to keep inflation expectations anchored. We will keep at it until we are confident the job is done.」
「需要の供給を調和させるための金融引き締め策を、仕事がなされたと信頼できるまで続ける」としています。だから、当面、金融緩和策は取られないとマーケットに警告しているわけです。
実際は、来年の3月に金融緩和策に転じる可能性もあるのかもしれません。しかし、マーケットがそうした期待を抱いて、株価がどんどん上昇してしまうと、資産効果によって需要が強くなり過ぎて、結果的に、FRBが金融引き締め策の遂行を長期化させることにつながります。
だから、マーケットが浮かれないように、金融引き締め策は長期化するとの考え方を示して、株価を下落させた、と考えられます。
FRBはインフレ抑制という目的のために、ところどころで株価を引き下げます。
パウエル講演を受けて、9月のFOMCにおける0.75%の利上げ確率は61.0%となり、前日の47.0%から上昇しました。
ただ、より大切なのは9月の利上げ幅よりも、金融引き締め政策の期間に移っているのでしょう。物価抑制のための金融引き締めのペース(どれくらいの利上げ幅になるか、いつまで引き締めが行われるのか、どこの時点でFFレートはピークを付けるのか)を考慮し、その結果「いつから金融緩和策が実現するのか」という命題に挑むことになります。
今後、8月の雇用統計における賃金上昇率、8月の消費者物価指数上昇率等を見て、インフレ動向を精査します。各種景気指標を見て経済の状態を精査します。物価状況と経済状況を考慮して金融政策を精査し、金融政策と景気状況のバランスを踏まえて株価を考える、その状況が再認識されました。
最後に、26日に発表された7月の個人消費支出の価格指数を記載します。(単位 %)
価格指数(前月比) 3月 4月 5月 6月 7月
PCE 0.9 0.2 0.6 1.0 -0.1
PCE(食品とエネルギー除く) 0.3 0.3 0.4 0.6 0.1
(前年同月比)
PCE 6.6 6.3 6.3 6.8 6.3
PCE(食品とエネルギー除く) 5.2 4.9 4.7 4.8 4.6











