5月28日（日）に東京競馬場で行われる東京優駿・第90回日本ダービー（GI）に登録しているソールオリエンス（牡3、美浦・手塚貴久厩舎）について、追い切り後の手塚貴久調教師のコメントは以下の通り。

（最終追い切りを振り返って）
「いつも通りなのですが、1週前にしっかりとやっているということで当該週は感じを見てもらうイメージでした。最後は併入のイメージだったのですが、最後は少し出たのですが、こちらが考えている通りの時計だったので、動きも時計も息も良かったです。
確かに他の馬より手前を替える回数が多いと思いますが、それも一つの癖として考えておけば、替えないよりは良いと思っています」

（前走の皐月賞1着を振り返って）
「展開もはまったのかもしれないですが、強いなと思いました。
道悪でどれくらいやれるのかも半信半疑でしたし、あとは内枠で多頭数でどういう競馬をするのかも半信半疑なところがありました。それらを全部クリアしてくれたのはあります。
調教に関して言うと、割とレースを重ねるたびに自らハミをくわえてしっかりと前進気勢が増しているのではないかという印象は受けます」

（前走後の調整について）
「皐月賞が終わった後、私が考えていたよりもダメージがなかったので、山元トレセンに2週間ほど放牧に出しました。そこで息抜きをさせてもらって、牧場でもリラックスさせていただいたのかなという感じです。とても良い状態で美浦に帰ってきました。帰ってきてからも馬の状態としては、休み明けという感じは全くしなかったので、今までより強い調教をするというよりは、今の体調をいかに維持するかに重きを置いた方が良いのかなと思って、帰厩後は調整しています。その中で1週前追い切りもしっかりと動いていますし、今日の最終追い切りもこちらの思った通りの動きで申し分なかったかなと思っています。今のところは不安な点はないような気がします」

（この馬の強さはどこにあるか）
「ジョッキーが乗っている感覚と、調教師の感覚は若干違うのかもしれません。完成は確かにこれから先なのかもしれないのですが、今の時点でも同世代の馬たちとの比較に関して言うと、決して完成度が劣っている感じには思っていません。今の時点でもダービーで高いパフォーマンスができるのではないかと思っています」

（今回のレースに向けて）
「2000mを十分こなしていることを考えれば、同世代の戦いであれば東京の2400mも守備範囲かなと思っています。
今週はこれから天気が良さそうですし、良馬場が期待できそうな週末ですので、時計はかなり速くなるだろうとは思っています。その辺はやってみないと分からないところはあるのですが、この馬に関して言うと理想は良馬場の速い時計の方が合っているのではないかと私自身は思っています。不安というよりは良馬場でやれて嬉しいなという感じです。
（ダービー挑戦の）最初の2回は参加することに意義を感じて使わせてもらっていました。ワーケアという馬の時は3番人気に推してもらいましたが、コントレイルという強い馬がいまして残念な結果になってしまいました。今回のソールオリエンスに関しては無敗で皐月賞を制したということで、私が過去に預かった馬の中でも最高に注目を集めると思います。しっかりと仕上げたつもりなので、結果はどうなるか分からないですが、緊張はしますね。
（勝てば手塚調教師はクラシック完全制覇）実を言うとそれは言われるまで分からなかったので、最初から自分でそうだなと思っていませんでした。ただ、そういうチャンスに巡り会えたというのは、運も良かったですし、調教師をやっている中で五大クラシックにチャレンジできることは大変ありがたいことです。まさにチャンスのある馬だと思っていますので、ぜひこのチャンスはものにできたら嬉しいなと思います。この先こういうチャンスがそう巡ってくるとも思えないので、何とか...とは思います。
ダービーとは調教師である全ての人の全てではないかと思います。最高の舞台ですし、このレースを目指して調教師としての技術を磨いていると言っても過言ではないと思います。それだけ大きな目標でありますし、重たいレースだと思っています」

（取材：米田元気）