30日（日）に京都競馬場で行われる第167回天皇賞（GI・芝3200m）に出走予定のタイトルホルダー（牡5歳、美浦・栗田徹厩舎）について、追い切り後の栗田徹調教師のコメントは以下の通り。

「（今朝の追い切りに関して）先週結構良い時計を出しましたから、その後のダメージも週末にかけて確認して無いということで、今週は前に馬を置いて、前の馬にあわせてリズム良く走らせて終わらせました。まずはやりすぎないように、先週はオープン馬と併せてある程度動かすような追い切りをしたので、今週に関しては疲れを残さず、輸送に備えるようにしました。良い時の心身のバランスというか、走る気持ちと体がマッチしているように感じます。先週も結構いい内容でしたし、ジョッキーの感触も良かったです。ただ、ちょっと右に倒れる所があるかなという話もしていたんですけど、今週に限ってはその辺りの修正点も改善されて、走る気持ちも我慢することが出来て、ジョッキーも良い感触を掴んでくれたようです。

去年は下半期に海外に挑戦させて貰って、そのあと有馬記念で多くのファンの方の支持を頂きながらあのような形で負けてしまって、ちょっとまずいなという気持ちがありました。今年こそはという気持ちで騎手含めてオーナーと相談して始動戦を大阪杯ではなくて日経賞にしました。輸送の事や中山コースという事もあって選択しましたが、（厩舎に）帰って来た時の様子が有馬記念の時と全然違いました。競馬に行ってどこまで持ち直してくれるか、厩舎としても掴めない部分はあったのですが、その不安を払拭してくれるような内容でした。馬自身が本来の姿を取り戻して勝ってくれたので非常にホッとしましたし、次に向けてという気持ちになりました。

去年の日経賞はアクシデント明けで手探りで、使えるか使えないかという状態でした。素質だけで勝ったようなレースでしたし、今年に関しては有馬記念で負けた後でしたが、体に関しては非常に調子が良さそうでした。あとは見えない部分でという所がありましたが、去年は日経賞を使った後にググっと良くなったのが伺えましたし、そことの比較という意味でも今年は日経賞を使って上がって来るだろうという想定のもとで使いましたが、目論見通り、良くなってきているのが伺えます。

（他の馬から挑戦を受ける立場での出走で）どのレースでも心構えは同じですが、この馬のパフォーマンスを最大限発揮させてあげられるように調整するだけです。勿論人気もするでしょうし、追いかけられる立場というのも分かっていますが、この馬をベストなコンディションに持って行ってあげるのが厩舎の仕事だと思っています。その辺りの気持ちは変わっていないですね。

勿論ファンの期待に応えられなかった2戦（凱旋門賞、有馬記念）というのがあります。ただその時にもベストな状態でやってきたつもりでしたが、結果的にそういう結果になってしまったので、この天皇賞に関しては連覇という期待を皆さんにされているのですが、コースも違いますし、去年のタイトルホルダーとは1歳年を重ねて違った面も出てくると思います。その辺りは馬自身をベストなコンディションに持って行ってあげたい、それだけです。

（京都に関しては）天皇賞を目標にした時から多くの方に質問されるのですが、これはどの馬も同じでそういう課題をクリアした馬でないと勝てないだろうと思っていますし、課題をクリアしてくれる馬だと思います。コースというのはあまり気にしていないです。横山和生騎手がベストパートナーですから、騎手がこの馬の長所短所というのは分かっているでしょうし、そのあたりは僕がどうしろとは言い辛いですね。本当に心強いですし、和生騎手はタイトルホルダーだけではなくて乗る馬のクセや状態も考えてくれて、さらに次のレースに向けてすぐ考えてくれますから、非常に心強いです。彼がこの馬の長所、特性を分かってくれていますから、それを生かした乗り方になると思います。

この馬に送られてくる手紙や御守にも、多くの思いが込められていると感じますし、まずは無事にという言葉をたくさん頂いています。本当にここまで無事に、順調に来ました。新しい京都競馬場でのレースになりますが非常に綺麗な競馬場ですし、皆さんに足を運んで頂いて、この馬の背中を押すような声援を頂ければ自ずと結果も出ると思います。また大きな声援をよろしくお願いします」

（取材：大関隼）