雨に濡れた船橋・マリーンカップ取材から会社に戻ると、「シーザリオ引退」の知らせが届いた。この仕事をするようになってからというもの、競走馬に対する好き・嫌いという感情をなるべく持たないようにしていたが、この馬に対してだけは、いつしか特別な感情が芽生えていた。ルックス的な素晴らしさももちろんだが、何というか、あの全てを可能にしてしまうような独特の雰囲気に、「憧れ」に近い気持ちを抱いていた。
僕は彼女の全6戦のうち、半分の3戦を実況していた。驚くほどフワッと後続との差を広げたフラワーカップ。4コーナーから直線を迎えた瞬間、超スローペースをあの位置取りでも「大丈夫、間に合いますから」と訴えてくる何かを、その走りから感じさせられた日本のオークス。そして真っ青な空、色鮮やかな美しいコースの中、3コーナーから一気に後続を引き離していく漆黒の馬体にゾクゾクっとさせられたアメリカンオークス。全てのシーンを今でも鮮明に覚えているし、沢山の素晴らしい経験をさせてもらった。
最後のビッグサプライズだったエクリプス賞ノミネートを含め、全てが華やかだったシーザリオ。今後の繁殖生活も、彼女らしい、素晴らしいものであってもらいたい。シーザリオ、お疲れ様でした。
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