かみのやま競馬の存続は極めて厳しい状況だ。10月5日、かみのやま競馬の経営者である上山市の阿部実市長は、調教師会等の関係団体との協議の席で廃止を通告した。当然、関係団体は強く反発し、この日の協議は決裂した。
取材をしている中で感じた事は「上山市が経営者」であると言う事実を多くの人が忘れてしまっていると言う事だ。あくまでも競馬を経営しているのは上山市であり、調教師でも騎手でも厩務員でもない。それなのに、競馬そのものに対する風当たりばかりが強くなってしまい、経営に失敗した上山市そのものを攻める声は少ない。上山市競馬事務所に独立性は全く無く、「上山市に経営責任がある」のだ。意識的かどうか阿部市長は自身の経営責任については微塵も言及していない。
かみのやま競馬が何もしなくても儲かっていた時代、上山市は「競馬で余ったお金を使わなくてはならない」と陰で豪語し無駄の限りを尽くした。その最たるものは「上山城」と「南小学校」と言われている。
上山城は昭和57年、16億円もの大金を掛けて市内の丘に建てられた。南小学校は煉瓦造りの巨大施設で昭和53年に建てられ、校舎の建設費用だけで16億円を超えている(噂では総額約22億円)。私の調べた範囲では、小規模の市の昭和50年代前半に建てられた小学校建設費用は平均で5億円超だ。
役所の会計では、予算を年度内に消化しなくてはならない。競馬から吸い上げた莫大な収入を適切に処理できず、使うことが目的化した予算が組まれたことは想像に難くない。
平成8年度までに161億円もの大金を上山市に繰り入れたかみのやま競馬も、バブル崩壊後は売上げが減少し、ついには赤字に転落した。しかし、単年度収支で赤字となった1994年度(平成6年度)にも、かみのやま競馬は5億円を市に繰り入れている。翌95年度は3億8700万円、96年度には2億5000万円を繰り入れ、この3年間だけで11億円を超える額を計上しているのだ。さすがに平成9年以降は繰り入れを行っていない。
収支が悪化して以降、経営者である上山市は、競馬黒字化のために手を尽くしたのか。手を尽くしていれば、廃止を持ち出しても、ここまで抉れなかったのではないか。多くの人の試算によれば万策尽きた訳でもなく、まだ黒字化の可能性も残されているのだ。削れる経費もまだまだある。市は来年度継続のためにどうしたら黒字になるのか、その試算すらしていない。競馬廃止ありきで議論が進んでいるのだ。
競馬が黙って黒字の時は利益を食い潰し、赤字になれば黒字にする工夫もしないで競馬を潰す。これが何もしない上山市の経営者としての顔だ。
「夕べ飲みに行ってたんだけどさ。競馬関係者には1人も会わなかったね。昔は大勢いたもんだけどなあ。その代わり、役所の人には1軒目でも2軒目でも会ったんだよ」これは上山市に在住しているとある人の言葉。何をか言わんや。
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