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安田愛里,栗林さみ,間島和奏,鈴木亮,大場結女

過酷な戦いが始まったのは、まだ真夏の太陽が照り付ける8月だった。あれから4か月。ついにこの日がやってきた。ラストアイドル11枚目のシングル「Break a leg!」が8日、ついにリリースされる。長い道のりだったと思う。辛い道のりだったと思う。だからこそ、この歌にはラスアイメンバーたちの熱い思いが込められている。コロナという未曽有の惨事から立ち上がるすべての日本人へ、それぞれのゴールに向かって、また歩き出そうと。

ラジオiNEWS,12月前半のゲストはラストアイドルだ。初回に登場してくれたのは、8回目の間島和奏さん、9回目の大場結女さん、そして初登場の安田愛里さんだ。

選抜メンバーを決めるラスアイサバイブ、筆者は途中で胸が痛くなり、見ているのが辛くなった。32人のメンバーが1対1で総当たり496試合、正面から激突した。そして必ず勝者と敗者が生まれた。敗者は勝者のパフォーマンスがいかに素晴らしかったか称え、勝者もまた敗者への賛辞や敬意を隠さない。その健気さ、優しさ、そして強さ。これまで幾多の試練を乗り越えてきたラスアイにとって、おそらく最も辛い、苦しいハードルだったのではないかと察する。 一方で、ファンにとって、メンバーたちの隠れた一面、新しい魅力を発見する機会になったのも事実だ。安田さんが語ってくれた。自分で曲を選び、衣装を決め、構成を考えて、歌い踊る。そんな初めての経験がとても楽しかったと。そのさわやかな笑顔をみて、救われた気持ちになった。

この日の週替わりコーナーで3人に、ラスアイサバイブから新曲リリースまでの心境を尋ねた。サバイブで筆者の印象に強く残っていたのが、間島さんの「プレイバックPart2」だった。清楚で聡明な間島さんが、男に向かって言い放つ「馬鹿にしないでよ!」。そのギャップにやられた。間島さんの隠れた魅力を垣間見た瞬間だった。

大場さんは衣装の可愛らしさが強烈な印象を残した。歌う曲のイメージ、踊る自分のイメージ、おそらく対戦相手のイメージもすべて考え抜いて、31回分の衣装を選んだのだろう。これまでのバトルをすべて勝ち抜き、常に選抜メンバーに選ばれてきた大場さん、あの向上心があれば、指定席の第3列から抜け出す日は近いだろう。

ラスアイサバイブは多くの発見があった。下間花梨さんの歌の上手さに驚き、池松愛理さんのダンスの切れ味にため息が漏れた。バルーンアートやガンプラまで動員して自らを演出する山本琉愛さんの必死さは応援せずにはいられなかったし、阿部菜々実さんの「DESIRE」は本家の中森明菜さんを超えたと思った。

個人的に楽しかったのが最後の立ち位置バトルだった。17位から敢然と1位に挑んだ間島さんには「さすが、まじまじ」と拍手を送ったし、初めて選抜入りし、1列目の立ち位置を必死で防衛した木崎千聖さんの涙には、思わずもらい泣きした。次々と登場する挑戦者をことごとく退けた阿部さんの戦いぶりは神がかっていたし、最後に2位の座を奪い返した小澤愛実さんのラスアイにかける思いの強さには、感動を禁じえなかった。

多くの涙、共有した思い、痛みや苦しみを乗り越えて送り出された「Break a leg!」、実にいい曲だ。コロナ禍で自分の人生を改めて考え直した人も多かったろう。これからどう生きるべきか、何をしたらいいのか、迷い悩んだ日々もあったろう。そんなすべての日本人に、ラスアイはエールを送ってくれる。「それぞれ目指すゴールは違うのだから、自分らしくマイペースで歩いていけばいいんだよ」。

MVがまた秀逸だ。メンバーたちがお世話になった人に感謝を込めて歌い、踊る。アイドルグループのMVをずいぶん見たが、これほど見る者の魂を揺さぶる作品はない。さすがラストアイドル、これぞラストアイドルである。

(日本経済新聞 編集委員 鈴木亮)


鈴木亮

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