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大森莉緒,西村歩乃果,畑美紗起,鈴木亮,栗林さみ

大型連休がやってきて、ラスアイが去って行った。ちょっと寂しい。4月マンスリーゲストのラストアイドル、最終5回目は新曲「君は何キャラット?」の中核メンバーが集結してくれた。西村歩乃果さん、畑美紗起さん、大森莉緒さんの3人、立ち位置で言えば1位、2位、4位と豪華な顔ぶれになった。

センターポジションを奪取した西村さん、美人なのにひょうきんキャラで、あるメンバーは「ふざけているイメージしかない」と語るが、おちゃらけは世を忍ぶ仮の姿、実像は生真面目な努力家だ。苦手なダンスを克服すべくLoveCocchi「青春シンフォニー」の時代から人知れず、地道な努力を重ねてきた。
常に陽の当たる立ち位置を占めてきた西村さんが、「愛を知る」で挫折を知る。立ち位置7位、負けじ魂に火が付いた。上を目指そうと決意した西村さんの転機は、「何人も」の殺陣のクラス分けだった。自信を持っていたのに評価はBクラス。心が折れかかったが、「私は努力することはできる」と立ち上がった。自腹でスタジオを借り、木刀を振り続けた。
同じような話を聞いたことがある、米国メジャーリーグでも活躍した松井秀喜さんの言葉だ。「私には努力を続ける才能があった」。

西村さんの努力は花開いた。「何人も」で立ち位置3位、演武のパフォーマンスで主役の座を射止めた。その勢い乗って今回のセンターだ。阿部菜々美さんに代わるセンター。どんなセンター像をみせてくれるのか。西村さんの出した答は「見ている人が、くすっと笑うようなセンター」だった。
ラスアイのメンバーと話をしていて、地頭の良さを感じることがよくあるが、西村さんも例外ではなかった。このコメントは秀逸すぎる。荘厳なイメージだった「何人も」のMVから⼀転、今回は霜降り明星せいやさんとの共演で、ユーモラスで軽妙なMVは、まさに「くすっと笑うような」仕上がりだった。
まだまだ続くコロナ禍。遥か彼方に出口が見えてきたとは言え、まだ腹を抱えて大声で笑える状況ではない。でも、くすっと笑うくらいなら許容される空気感は出てきた。そんな時代の境目に生まれたのが「君は何キャラット?」だ。西村さんの感性は素晴らしい。西村さんのセンター像はさしずめ「微笑みの伝道師」。辛いことがあっても、くすっと笑えば救われる。

西村歩乃果
今回、立ち位置2位に躍進した畑さんは、すっかり2期生のエースになった。幼少期から続けるバレエで磨かれた身のこなしは優雅で可憐、ボリウッドダンスは蝶が舞うような美しさだった。予選1位通過だったから、畑さんがセンターになっても不思議ではなかった。「私にはまだ早いかな」と謙虚だが、オレトクナインでも2位、雑誌bisのモデル争いでも阿部さんに次ぐ2位と、まさに赤丸急上昇中なのが畑さんだ。
伏線はあった。「愛を知る」のグラビアバトル、「何人も」のディレクターズバトルでも、畑さんはメンバーに選ばれている。派手さないが、このころから、なくてはならない存在感を発揮し始めていた。
この人をみているだけで癒される。声も顔も仕草も、ひたすらかわいい。そんな畑さんが実績を積み始めた。この人が自信を持ち始めたら強い。大化けすると思う。時代がセンター畑を求めるのは、そう遠くないはずだ。

畑美紗起
大森さんは番組初登場、お会いするのは初めてだった。大森さんも進境著しいメンバーの一人だ。「愛を知る」で立ち位置5位に躍進、今回も4位とさらにランクアップし、前回の結果がフロックでないことを実証してみせた。
凛とした佇まい、醸し出すオーラは、ただ者ではない。聞けばアイドルとしての経験値も高く、奥行きの深さを垣間見せてくれる。たまたま目にしたヨルライリモートで、大森さんが「ハグから始めよう」をソロで歌っていた。あまりのうまさに驚愕したのを覚えている。
アイドルになるために生まれてきた、そんな感じすら抱かせる大森さん、「いつかラスアイのセンターを取りたい」と、何の衒いもなく目を輝かせる。この姿勢がいい。「君なら行けるよ」と躊躇いなく頷ける。

大森莉緒
この日の番組で昭和、平成、令和と3つの時代を俯瞰するクイズをやった。昭和を代表するアイドルは山口百恵さんと松田聖子さん、平成を代表するアイドルはモーニング娘゜とAKB48だろうか。そして30年後くらいに、令和を代表するアイドルは、と問われた時、ラストアイドルこそ令和を代表するアイドル、100万キャラットの輝きをもつアイドルだったと歴史が証明する。
ステイホームの連休初日、そんな夢をみながら筆を置こう。

(日本経済新聞 編集委員 鈴木亮)


鈴木亮

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