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ラジオiNEWS

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鈴木瞳美,永田詩央里,鈴木亮,栗林さみ

今週は日米の中央銀行で金融政策を決める重要な会議があり、日本銀行、米国のFRBのニュースが多い週になった。このコラムのタイトル「亮的閑話」は、日銀がとっている政策「量的緩和」から名付けた。ラジオiNEWSという番組のコンセプトは、アイドルと一緒に経済ニュースを学ぼう、というもの。今日の解説コーナーのテーマ「日銀の役割」は難しかったかもしれないが、ゲストで来てくれたノットイコールミーの鈴木瞳美さん、永田詩央里さんは、頑張って理解しようと、一生懸命聞いてくれた。

世界でコロナウイルスが猛威を振るい、日本の経済も大きな打撃を受けた。景気は落ち込み、雇用が失われる。人々の気持ちは落ち込み、その冷めたマインドが、また消費を冷やす。
こんな時こそ、日銀の出番だ。金利水準を下げ、世の中に出回るお金の量を増やす。金融政策を緩和し、企業が投資などお金を使いやすい環境を作る。苦しい時、厳しい時、辛い時、そんな時こそ日銀の存在価値が輝くし、役割の重要性を再認識する。

一方、アイドルの価値を最も実感するのは、どんな時だろう。嬉しい時、楽しい時、好きなアイドルの曲を聴いて、ますます気分が高揚する。それはそれで幸福な瞬間だ。
だが、それ以上にアイドルのありがたさを感じるのは、やはり置かれた状況が厳しい時だろう。少なくとも私はそうだ。

朝、どうも気が乗らない。会社に行きたくない。そんな時は、好きなアイドルの、ちょっとノリのいい曲を聴いて、「よし、行くか」と背中を押される。
どうにもやるせない、辛く悲しい時は、好きなアイドルのバラード曲を聴いて、しんみりする。今だけは、この曲に寄り添ってもらおう、一緒にいてもらおう、と思う。

社会人生活が始まったばかりの20代のころ、会社に行きたくない朝は、プリンセスプリンセスの「世界でいちばん熱い夏」を、普段より少しボリュームを上げて聴いた。
それから20年後、夕刊コラムのインタビューで、岸谷香さんにお会いした時、なんとも言えない甘酸っぱい記憶がよみがえったのを覚えている。

辛く悲しく、頭から布団をかぶって消えてしまいたいと思った時は、薬師丸ひろ子さんの「手をつないでいて」をヘッドフォンで聴いた。若い時代、厳しい状況に追い込まれた私は、アイドルに癒され、助けられた。ちょうどコロナ禍で苦しむ、今の日本経済を日銀が癒しているように。あなたにとって、日銀にあたるアイドルは誰ですか。

(日本経済新聞 編集委員 鈴木亮)


鈴木亮,栗林さみ

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