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ラジオiNEWS

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終わってしまった。今は喪失感が8割、やりきった満足感が2割といったところか。2017年10月に始まったラジオiNEWSが28日、6年3カ月に渡る放送を終了した。

いつかは終わりが来る。当たり前のことなのだが、この番組はアイドルの皆さんにもファンの皆さんにも支持され、ずっと続くと思い込んでいた。日本経済新聞に入社し38年、多くの仕事をしてきたが、ラジオiNEWSは最も楽しく、やりがいのある仕事の1つだった。

この間にお迎えしたアイドルはざっと500人、延べでいえば700人の方が来てくれた。その後ろにはそれぞれ多くのファンが付いている。思えば、実に大きなパワーで支えられた番組だったのだと、改めて思う。

アイドルというきらびやかにみえる世界、自分には縁がなかった。興味もなかった。それが毎週、アイドルに経済ニュースを解説するという仕事が始まり、たくさんの出会いが始まった。アイドルの皆さんは自分の仕事に誇りを持ち、真摯に取り組んでいる。地道な努力を積み重ね、打たれてもまた立ち上がる。すごいなと思った。一緒に仕事をして、尊敬の気持ちを抱いたことは数え切れない。

6年3カ月、最も印象に残ったアイドルグループはと言えば、やはりラストアイドルだろう。テレビ番組で過酷な試練を克服する姿を目にしていたので、初めて番組にお迎えする時、さぞ勝ち気で、押し出しの強いメンバーがそろっているのだろうと思っていた。実際にお会いしたラスアイの皆さんは、どなたも優しく、礼儀正しく、いい子ばかりだった。先入観とのギャップは大きく、すぐにファンになった。ライブにも頻繁に足を運んだ。それだけに22年5月の解散は悲しかった。

ラスアイがなくなってからも、元メンバーたちは番組に来てくれた。この日、最後のゲストとなった篠原望さん、高橋みのりさんはその代表例だ。アイドルの皆さんとの距離が縮まるにつれ、実は厳しい辛い現実を知る機会も増えた。筆者がラスアイの2期生アンダー箱推しを公言していたのは、高橋さんたちの健気に頑張る姿に共感したからだ。人生なんて理不尽の連続だ。思い通りに行かない方が多い。少なくとも筆者はそうだ。それでも現実と向き合い、また歩き出す。番組で流した「サブリミナル作戦」は、そんなアンダーメンバーたちの生き様を投影する名曲だ。ライブ会場でイントロを聴くたび涙腺が緩んだ。

番組でのサブリミナル作戦の篠原さんの曲紹介コメントが秀逸だった。原稿はない。アドリブで、ラスアイやラジオiNEWSへの思いをぎゅっと纏めた。やはりこの人はただ者ではない。高橋さんのあふれ出すような明るさには、お会いするたび元気をもらった。一緒に仕事をして、こんなに楽しい気持ちにさせてくれるアイドルはいない。番組の最終回に筆者が敬愛してやまない、大好きなお2人に来てもらったことは、何より嬉しかった。リスナーの皆さんも「最後を飾るのは、この2人しかいないでしょ」と思っておられたのではないか。

そして番組最後に待っていたサプライズ。まったく気配を察することができなかった。気持ちいいほど、まんまと嵌まった。てっきりニュース読みコーナーをやると思っていたので、篠原さん、高橋さんの演技力には脱帽だ。番組スタッフの厚情に感謝しかない。

テレビの仕事や講演の仕事は多くこなしてきたが、ラジオは初めてだった。アイドルとの接点も初めてだった。不慣れで迷惑をおかけしたことも多かったと思うが、番組スタッフはいつも優しく支えてくれた。6年3カ月も放送を続けられたのは、有能で気配りに長けたスタッフのおかげだ。

そして何より、長きに渡り番組を聴いてくださったアイドルファンの皆さんには、心から感謝したい。毎週、多くのコメントを寄せていただき、iNEWSがトレンド入りすることもしばしばだった。ライブ会場などで皆さんとお会いし、アイドル談義に花を咲かせるのも楽しかった。

そしてこの番組に出演してくれた累計500人ものアイドルの皆さん、たくさんの出会いと幸福な時間をありがとう。アイドルという仕事は多くの人の人生を支え、生きる力となっている。素晴らしい仕事だ。

最後に6年3カ月、隣でテキパキ番組を進めてくれた栗林さみさん、ありがとう。テレビのニュース番組などで多くの女性アナウンサーと仕事をしたが、貴方ほど気の置けない、仕事がしやすい人はいなかった。こんなに長くやってきて、ケンカらしき空気になったことは一度もなく、トラブルらしきことも皆無だった。相性の良さだったのかと、終わった今になってしみじみ思う。

ラジオiNEWSは本日をもって終了する。このコラムも最終回となる。長いこと聴いていただき、読んでいただき、本当にありがとうございました。来年2月以降には新しく、またアイドルの皆さんと経済の最前線を学ぶ番組が稼働する予定だ。引き続きよろしくお願いします。

この番組と出会ってくださった、関わってくださったすべての皆さんに、心より感謝の気持ちをお伝えし、筆を置きます。6年3カ月、ありがとうございました。またお会いしましょう。

(日本経済新聞 編集委員 鈴木亮)

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