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新コーナー「是枝邦洋の中国企業図鑑」
このコーナーでは経営コンサルティング会社、コーポレイトディレクション 中国法人代表の是枝邦洋さんに、
独自の進化を続ける中国企業を紹介していただきます。
このページでは是枝さんによる、番組内で紹介した企業の解説記事を掲載してます。

POPMARTは、キャラクターフィギュアの企画販売企業です。2023年の売上高は16.1億元(約320億円)、前年比36.5%増の急成長。世界では既に480店舗展開しており、374店舗が中国、106店舗が海外(202410月末時点)。日本では2022年に原宿に第一号店がオープンしたので、ご存じの方も多いかもしれません。また、中国ではキャラクターの自動販売機を2,000台以上展開しています。こちらも、上海等主要都市の空港にはだいたい設置してありますので、目にした方もいるでしょう。携帯電話等電子デバイス分野では世界で活躍する中国企業が数多く存在しますが、POPMARTはコンテンツ系の業界を代表する企業です。

POPMARTは創業2010年、創業者は王寧(ワン・ニン)氏で、大学卒業後すぐに創業しました。王氏は幼少期から商売付きで、学生時代から複数の事業を経験していたといいます。そ創業当初は若者向けの雑貨店でしたが、2015年に日本の玩具『Sonny Angel』を取り扱ったところ大ヒット。これをきっかけにキャラクターIP事業へ転換。その後、中国における「ブラインドボックス(盲盒)」販売方式(中身が見えないフィギュア)ブームに乗り、急速な成長を果たしました。2020年には香港市場に上場。時価総額は1065億香港ドル(約14,200億円)に達する等、投資家からも大きな期待をもって受け入れられています。

POPMARTの成功要因は3点あります。1点目は、ターゲットが大人だった点です。当時の中国では、玩具は子供が買うもの、という見方が主流でしたが、POPMARTは他社に先駆けて大人にフォーカスを当てました。大人向け玩具という新しい分野は、商業施設にとっても新鮮さを出すことができ、大人も子供も楽しめるので有用だった、という点も大きいでしょう。

2点目は、IP(キャラクター)の企画から販売までを一貫して行う垂直統合型ビジネスモデルです。多くの中国玩具企業が、ディズニーやその他外国のIP等に頼る中、POPMARTは自社でIP開発に取り組んでいます。他社IPの借用は顧客の関心を引くことはできますが収益性を圧迫します。POPMARTは自社IPを中心に置きつつ柔軟に他社IPを活用することで、収益性の向上と他社との差別化を実現できています。

3点目は、ファンコミュニティです。実店舗や自動販売機を駆使して店舗体験やリアルな接点を構築することで、3,400万人のファンコミュニティを構築し、リピート購買につなげています。

IPやコンテンツ分野は、任天堂やジブリをはじめ、その他漫画・アニメ等、日本が世界的に強い分野です。一方で、その知名度を収益につなげることが出来ている企業は多くありません。POPMARTは、既に強力なビジネスモデルを備えています。IPもさることながら、このビジネスモデルについても、日本企業が学ぶべきポイントは大いにあるのではないでしょうか。

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