新コーナー「是枝邦洋の中国企業図鑑」
このコーナーでは経営コンサルティング会社、コーポレイトディレクション 中国法人代表の是枝邦洋さんに、
独自の進化を続ける中国企業を紹介していただきます。
このページでは是枝さんによる、番組内で紹介した企業の解説記事を掲載してます。
今回ご紹介するUnitree(宇樹科技)は、中国は浙江省杭州市を拠点とするロボット開発会社で、主に四足歩行、二足歩行のロボットを開発しています。今年の春晩(中国の春節の際に放送される、日本の紅白歌合戦のような番組)では、ヒト型ロボットUnitree G1による伝統舞踊パフォーマンスを行うなど、中国国内でも非常に注目されている企業です。
創業は2016年で、創業者の王興興(ワン・シンシン)氏は1990年生まれ。上海大学大学院で四足歩行のロボット開発に取り組み、卒業後にドローン大手のDJIを経て起業するに至りました。
「ロボットを全ての家庭に届ける」ことをビジョンとして掲げているUnitreeの最大の特徴は、高品質なロボットを低価格で提供する点にあります。2017年に自社の四足歩行ロボットとしては初の市販モデルLaikagoを投入して以降、次々に新製品を投入。2021年には一般家庭向けに売り出したGo1の価格は約30万円、23年に投入した後継機Go2は約20万円と、次々に低価格化を仕掛けています。23年には人型ロボットも販売を本格化し、24年に投入したG1の価格は約200万円。これは前年に出した第一世代から80%以上の値下げとなっており、ビジョンの体現に向けて着々と開発を進めていることが分かります。今では、四足歩行ロボットの世界シェアは約70%であり、北米やヨーロッパ、日本やその他アジア等の世界各国で展開中です。
ここまでスピード感のある低価格化と世界展開が実現可能な理由としては、創業当時より主要技術・部品を自社開発してきたこともありますが、やはり中国のサプライチェーンをフル活用している点もあるかと思います。
今後の展開としては、更なる価格低減とシェア拡大は当然進めていくことになるでしょうが、それに加えて、AIとの連携による発展もあると思われます。今、世界中で話題になっているDeepSeek等、中国国内では様々なAI企業が生まれています。たまたまDeepSeekも杭州市にあるということもあり、こういった企業が連携することで、ロボットの活用方法も更に進化するでしょう。このような、中国の新たな産業集積の発展を担うという意味でも、今後も目が離せない企業だと考えています。

