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新コーナー「是枝邦洋の中国企業図鑑」
このコーナーでは経営コンサルティング会社、コーポレイトディレクション 中国法人代表の是枝邦洋さんに、
独自の進化を続ける中国企業を紹介していただきます。
このページでは是枝さんによる、番組内で紹介した企業の解説記事を掲載してます。


中国版生成AI "Deepseek"が一躍有名になりましたが、それを受けて「次に来る企業はどこか?」と関心を持っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。既に日経新聞等でもMoonshot AI等の企業が紹介されています。そこで、ここでは、少し別の切り口で、AIを支える半導体分野で成長著しい中国企業に注目し、2社取り上げてみます。

ムーア・スレッド

まず、ムーア・スレッド(Moore Threads:摩尔线程)ですが、この企業は元NVIDIA中国の総経理だった張建中氏が2020年に創業した、GPUのファブレスメーカーです。「中国初のGPUソリューション企業」を目指す同社は、創業後、セコイアキャピタルやバイトダンス、テンセント等から6回の資金調達をしており、累計額は60億元(約1,200億円)以上と言われています。創業者をはじめ、NVIDIAで働いていた方々を中心に始まった企業ということもあって、 NVIDIAGPUとの互換性が高いと言われています。コスト優位性はあるものの性能面ではNVIDIA製には劣るようですが、その点も徐々にキャッチアップしつつあるようです。

カンブリコン

次に、カンブリコン(Cambricon:寒武纪)ですが、こちらは、ムーア・スレッドよりも創業は少し早い2016年で、GPUではなくNPUというAIに特化したチップを設計する会社です。社名は一風変わったものですが、これは生物の爆発的進化が起きた「カンブリア紀」に由来しており、AIの今後の発展をカンブリア紀になぞらえてのことだと言われています。創業者の陳天石氏は、OpenAIのサム・アルトマン氏と同じ85年生まれ。16歳で大学に進学した秀才で、その後中国科学院でNPUの研究を進めていたのですが、そのプロジェクトがスピンアウトする形で起業するに至ったと言われています。カンブリコンが最初に注目されたのは、2017年に発表されたファーウェイのスマートフォン向けSoCKirin970」にカンブリコンのNPU IPが採用された時です。これを機に、「ファーウェイのスマートフォンに頭脳を提供した企業」として一躍有名になりました。なお、こちらは既にIPO済みでして、時価総額は2,400億元(約48,000億円)に達しています。

これら2社の例を見ての通り、今や生成AIに限らず、半導体も含めたエコシステム全体で、中国は猛烈な勢いでアメリカをキャッチアップしています。個人的に興味深いと考えているのは、中国は生成AIや本日紹介したGPUNPUだけでなく、ロボットやIoT等、そのAIを活用するアプリケーションとなるような業界のすそ野が広いということです。今でも「世界の工場」である中国は、今後AIを活用して更に発展する可能性があります。Deepseekを機に、改めて、中国のAI関連産業を幅広く見てみると、OpenAI起点の世界とは違うものが見えてくるかもしれません。

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