
トランプ・習近平ディールの行方
日本経済新聞編集委員で前の中国総局長の高橋哲史氏が、中国の政治経済を音声で読み解く番組「NIKKEIで深読み 中国経済の真相」。今回は東京財団政策研究所 主席研究員の柯隆さんにお話を伺いました。
※2025年2月5日収録。
音声文字起こし・要約機能を活用しています。
Topics from China
トランプ政権、対中10%関税 発動 中国は10日に報復措置
高橋氏:
トランプ大統領は中国からの輸入品に対して10%の追加関税を発動しましたが、カナダとメキシコに対しては発動を1ヶ月延期しました。
中国に対しては協議を続ける意向を示しているものの、現時点では交渉が決裂したのか、続いているのかは不明です。
中国側は石炭や液化天然ガスなどに最大15%の追加関税を課すと発表し、重要鉱物の輸出制限やグーグルに対する独占禁止法の調査も開始しました。
ただし、発動は10日からとしており、トランプ大統領が習近平主席と電話でディールを試みる可能性があると考えています。
柯隆氏:
中国の報復措置には疑問があり、特にグーグルに対する調査は中国でグーグルが使えないため、独占禁止法に触れる理由が不明です。
また、エネルギーの輸入に関税を課すことは中国のエネルギー備蓄が2ヶ月に満たないため、戦略的に不利です。
中国の報復措置は性格的なもので、やられたらやり返すという姿勢が強いと感じます。
米中のディールの可能性は50-50で、時間が経つほど制裁の応酬が深まる可能性が高いです。
中国、2024年銀行貸し出し13年ぶり減 金利負担の実感重く
高橋氏:
中国の金融システムは安定していると言われていますが、銀行の貸し出しは大幅に減少しています。
特に民営企業の借り入れが減少しており、習近平政権の国有企業優遇政策が影響しています。
金融緩和が進められる中で、金利が下がると銀行の利座屋が縮小し、経営が圧迫される可能性があります。
不動産不況の改善が見込まれない中で、銀行システムに波及して金融不安につながる恐れがあります。
柯隆氏:
中国の国有銀行は潰せませんが、流動性の罠にはまり、貸ししぶりが発生しています。
デフレに突入しているため、企業が設備投資を行えず、お金を借りない状況です。
銀行の貸し出しが減少し、景気のデフレが濃厚になってきています。
習近平主席はデフレの理解が不足しており、経済運営が混乱しているように見えます。
米中揺らす「DeepSeekショック」 データ窃取疑惑も
高橋氏:
DeepSeekをめぐる論争が起きており、安全面での懸念から使用をやめようと考えています。
DeepSeekに「くまのプーさんは人気がありますか」と質問したところ、最初は答えられませんと表示されましたが、後に「中国では非常に人気があります」と回答が変わりました。
検閲が行われている可能性があり、不気味な感じがします。
柯隆氏:
中国では使ってはいけない言葉の辞書があり、AIシステムに組み込まれています。
DeepSeekは最先端の半導体を使わずに計算モデルを開発したとされていますが、アメリカの学習成果を利用しているのではないかという疑惑もあります。
DeepSeekのCEOが李強首相に呼ばれて会見したことが災いのもとになり、研究ができなくなる可能性があります。
政府の干渉がなかったからこそ生まれた企業であり、そっとしておくべきです。
本編
中国株に「消費降級」の影 恒大法的整理から1年
高橋氏:
中国の消費は相変わらず悪く、高級品を中心に物が売れない状況です。
消費が回復しないと内需が盛り上がらず、景気が低迷したままです。
トランプ政権の10%の追加関税は中国経済に大きな打撃を与える可能性があります。
柯隆氏:
中国の消費は悪く、特に高級品の売れ行きが悪いです。
失業率が高止まりし、不動産バブル崩壊の後処理が進まないため、景気が回復しないと見ています。
内需を刺激するためには個人、特に低所得層を助ける必要がありますが、中国の政策は生産者側に偏っており、過剰生産が問題となっています。
トランプ政権の追加関税に対抗するために人民元安を誘導する動きがありますが、キャピタルフライトのリスクもあり、経済運営が混乱しています。
番組の感想はXで #中国経済の真相 をつけてポスト!次回は2025年2月13日の配信です。お楽しみに!

