お知らせ:

朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

番組へのお便りはこちら

2月20日放送の「アサザイ 今日の1社」には、またキラリと光る企業にご出演いただきました。空間プロデュースの乃村工藝社(9716・東証一部)です! 今回は取締役経営企画本部長の吉本清志様にお越しいただきまして、井上哲男がインタビューしました。

 乃村工藝社は、120年もの歴史を持っている企業です。新しい業種のようにも感じられますが、「空間」=「間」を大切にするというのは、日本古来からの文化ですね~。

 さあ、そんな「歴史」が絡んでくると筆が止まらない、井上哲男の取材後記をどうぞお読みくださいっ!

------------------------------------------
取材後記
乃村工藝社(9716)(東証1部)
ラジオNIKKEIスタジオで取材・収録。お相手は取締役経営企画本部長の吉本清志さま。

「人生の喜びを増幅させる」

▼創業120年、息づくDNA
 創業は1892年(明治25年)で昨年120周年を迎えた同社。日清戦争より前ということは、新日鐵よりも歴史が古いことになる。あの世界最大のコングロマリットである米国GE社(ゼネラル・エレクトリック社)と同い歳だ。創業者の乃村泰資が芝居小屋に大道具方として入ったことから始まり、大正時代には両国国技館の菊人形展で大規模な段返しの仕掛けにより見物客を大いに沸かせたという。同い歳といえば萬朝報(よろずちょうほう、後の東京毎夕新聞)が創刊されたのがこの年である。社会記事を深く掘り下げ「三面記事」という言葉を生み出し、翻訳小説や英文記事の連載、はては、当時の有力者と妾の組み合わせ一覧などまで掲載し、創刊7年で東京一の発行部数を誇った、幸徳秋水や内村鑑三も所属していた新聞である。明治中期から大正、昭和初期・・・。たおやかな社会情勢のなか、日本が文化の摂取、培養ということに一番貪欲であった時代を文化のすぐそばで生きてきたDNAは、同社の「人が集い、ワクワクする空間を創り続けること」というポリシーに生き続けている。

▼ワクワクする空間
 またしても前置きが長くなった。同社の二大事業は「空間創造事業」と「空間活性化事業」。前者は企業の設備投資、後者は企業の年間予算である広告宣伝費や業務委託費に基づくものであり、それらは、「商業」、「広報・販促」、「行政」、「その他」と区分けされるが、具体的な施工事例を挙げたい。しかし、前もって断りを入れるが、同社はクライアントや共同で事業を行った他社に配慮してのことであろうか、あまり、「~は私どもが手掛けました」と言わない。あくまでも、ここに挙げるものは、私が乃村工藝社が何らかの形で関わったと知っているデザイン・施工例である。・東京スカイツリー「東京ソラマチ」、プラネタリウム「天空」、・ダイバーシティ東京とガンダム立像、・新東名高速サービスエリア・パーキングエリア、・ユニクロ銀座店、・アンパンマンこどもミュージアム、そしてパレスホテル東京のチャペルなどなど。ほら、ワクワクして来たでしょう。その数で世界一と言われる300人ものデザイナーを擁し、企画、製作、そして運営までもできるワンストップのトップ企業だからこそ創り上げることが出来た「空間」は紛れも無い文化である。

▼世界を、ワクワクさせる
 業績にも触れよう。同社は配当を重視し、厳しい決算の時でも配当性向を高めて投資家に還元する努力を続けてきたことが分かるが、リーマン・ショック後の2009年2月期に一時的に落ち込んだ利益もその後順調に回復し、この4期(今期は会社見込み)で営業利益は2.8倍、最終利益は5.4倍となっている。特に、最終利益は一時的な要因を除いた2005年~2008年のピーク時に並びつつあり、昨年からの中期3ヵ年計画が実を結んでいることが分かる。そして、その中期経営計画の仕上げの年であるこの3月からの最終年度のスローガンは「国際企業化の加速<世界を目指す>」である。 
 私は、この部分に非常に期待している。米国、中国、香港、そしてシンガポールのオーチャードに行ってもいつも感じることがある。それは、店に商品は置いてあり、売れているのであるが、店や商業施設自体には感性に訴えるものが無いということである。昨年、日本のあまり大きくはないがデザイン性の高い衣料品メーカーが共同でシンガポールのショッピング・モールに出店したところ、大きな反響を呼び、長蛇の列となった。そのニュースのなかで地元の若者のコメントで印象に残っているのが、「この店は、商品の並べ方、店のレイアウト・デザイン自体がワクワクする」というものであった。

 これから、日本の輸出(特にアジアエリアへの輸出)はソフトが主役になる。感性、文化だ。放送の中でもあったが、中国で前年13件の依頼があったが、受注は2件だけで、残りは断ったという。乃村工藝社が考えるレベルのものをまだ現地では創れないのだ。そのため、製作のトップ2人を中国に送りこみ体制強化を図っている。“モノ作りニッポン”は何もハードだけではない。同社が持つクリエイティブ力は立派な“モノ作りニッポン”の体現であり、120年分の日本の文化と感性が詰まった粋である。この差別化が揺らぐことはない。

▼最高の賛辞
 しかし、こちらの一方的な思い込みではあるが、不思議な縁を感じる会社である。乃村工藝社の株主向けの四半期報告にはディスプレイ・デザインの歴史という連載がある。これを読んで、私は広告研究会に所属して「宣伝会議」や「広告批評」といった雑誌を読んでいた学生時代を思い出した。(理由はここには書かないが)就職先として選んだのは金融であったが、それでも1社だけ、もし広告関係で企業訪問をできるとしたら、私は同社を選んだと思う。社会人になって偶然、芝浦を歩いていて乃村工藝社の(旧)東京本社を発見したときも特別な感情が込み上げて来た。ちょうど断筆から復活した筒井康隆(大学卒業後同社に4年間勤務した)の本を持っていた記憶がある。茶色の背の低い旧館と近代的な新館の組み合わせは、文化の発信地を感じさせた。他に同じような感慨を覚えた建物に、麹町の(クッキーの)泉屋東京店がある。昔は企業本社の建物自体にメッセージ性があったように思う。

 これ以上私が書いても同社の魅力を伝えることは出来ないと思うので、同社が「パレスホテル東京のチャペル」でアジア最高の賞(アジアデザインアワード2012)を、大賞・金賞・銀賞のトリプル受賞したときの選考評を載せて終えることとする。
 「創造性と美しさが人生の喜びをいかに増幅させるかがよく表現されている実例」
 最高の賛辞だ。(了)
------------------------------------------

 取材後記は、以上です。
 「歴史の重み」と言葉にするのは簡単ですが、「デザイン」の領域は常に新しさを要求され、単に過去を積み上げるだけでは立ち行きません。つまり、同社は120年もの間この領域にあって「常に斬新でオリジナル」でありつづけてきたということで、これは相当難しいことでしょう。

 しかも個人の力量によるところも大きい領域にあって、企業としてトップに立ち続けるには、やはり井上哲男の取材後記にもある「DNA」が企業の中に根付いているのでは、と感じました。
 同社が手がけた施設などはいずれも魅力的な場所ですので、機会がありましたら私も隅々まで空間を味わってみたいと思います!

 今回はリスナープレゼントとして、今年の干支「巳」にちなんだ「乃村工藝社オリジナルノベルティ」をご提供いただきましたので、そちらはのちほど別途告知させていただきます♪


 それではまた、次回の「アサザイ」もお楽しみに~。

(関連リンク集)
■乃村工藝社 株主・投資家情報
■アジアデザインアワード2012 受賞者一覧


取締役経営企画本部長の吉本清志様と。手前はリスナープレゼントのオリジナルノベルティです。