3月19日の「アサザイ 今日の1社」は、日精樹脂工業(6293・東証プライム市場・名証プレミア市場)を放送しました。
今回は、代表取締役社長 依田 穂積 様にお越しいただき、事業内容や中期経営計画等についてお話を伺いました。
井上哲男より取材後記が届いております。ぜひご覧ください。
----------------------------------------------------------
取材後記
日精樹脂工業(6293)(東証プライム市場・名証プレミア市場)
ラジオNIKKEIにて収録
お相手は、代表取締役社長の 依田 穂積 (よだ ほづみ)様
「長野県坂城町で受け継がれてきたDNA」
ファンドマネージャー時代、何度も買わせて頂いた同社であるが、1957年設立前からの沿革についてはこの度初めて知るところとなった。
その沿革は、創業者青木固(あおきかたし)氏が、戦後1947年に満州より引き揚げ、現在の本社所在地である故郷の長野県坂城町でプラスチック成形加工業を営んだことに始まり、1957年に同社を設立して、射出成形機メーカーに転身したとのこと。
青木固氏は、社長であるとともに発明家でもあり続け、自身がプラスチック成形加工業を営んだ経験から顧客の視点で多様な射出成形機の次々と開発し、生涯で932件の特許を取得し、同社はもとより、プラスチック成形加工業界全体の発展に大きく貢献したという。
同社には、その創業者のDNAが受け継がれている。
それは、顧客が儲かるために「成形現場を着眼点」に、射出成形という「狭い」分野で、その専門技術を「深く」追求し、その技術を「広く」応用して裾野を広げるということである。そして、創業以来、同社は専業メーカーならではの常に独創的な視点から技術開発を行っている。
「射出成形機」とは、材料を「射出する部分」と、「成形する部分」から構成されている機械のこと。両方を備えているため「射出成形機」と呼ばれる。材料である米粒状のプラスチックを溶かして、金型という枠に流し込む作業が「射出」、それに高い圧力をかけて製品を形作ることが「成形」だ。同社は顧客のニーズに沿うように、大型、小型、電気式、ハイブリッド式など、従来の油圧式成型機から大きく進歩した製品群をメーカーに提供している。
そして、その"顧客"は、日本国内だけではない。同社の製品は国内のみならず80を超える国々で活躍しており、地域セグメントは日本・アジア・欧米の3地域に区分され、実際、2024年3月期の売上で海外が占める比率は72.0%と、海外でも大きな支持を得ていることが分かる。
そんな同社の強みの1番目は、金型技術も自社内に保有するなど、優れた技術開発型企業としてこれまで支持され、射出成形機累計販売実績が国内メーカーNo.1の実績を有していること。これは、幅広い優良顧客を有しているということも指す。
続いて社長が挙げられたのが「社員」という資本力で、その8割が国家資格である「射出成形技能士」の有資格者で、同社の技術力を支えているという。
また、メーカー直接販売を行うとともに、サービス面でも、競合メーカーの多くが外注サービスであるのに対して、同社が直接サービス体制を敷いていることが強みであり、支持されている要因のひとつだと語った。これについては、導入後のサービスだけでなく、導入にあたってのシステム化・自動化から工場レイアウトまで射出成形をトータルにサポートできているという。
製品群も、型締力7t~7000tのフルラインナップを誇り、小型機から超大型機まで揃えているだけでなく、顧客のニーズにあった専用機・カスタマイズ機の開発も行っている。そして、その生産においても、日本、中国、タイ、米国、イタリアの世界5拠点で地産地消の体制を敷き、サービス体制についても、テクニカルセンターを日本、中国、タイ、米国、イタリア、メキシコでグローバルに運営している。
これらに加えるとしたら、「日精スクール」の存在であろう。
業界のリーディングカンパニーとして、射出成形業界の発展と射出成形技術者を育てるこのスクールを1968年より開校していることは、企業としての業界を牽引する姿勢を示し続けてきたということであり、立派なブランディングであると私は考える。
今年4月からスタートする第5次新中計は、3年後の同社が目指す姿である「世界に冠たる成形プラットフォーム企業としての日精ブランドを構築する。」に向けて、顧客の工場、生産ラインの設計、生産支援、材料供給、専門人材の育成等を包括的に含むソリューションを提供する取り組みとなるが、具体的な重点取り組みは6点ある。
それらは、「事業運営の基軸」(自動車産業向けのビジネスの強化)、「地域別施策および地政学リスクへの対応」(米国工場、中国工場、インド工場それぞれの取り組みとドイツ市場への参入)、「サステナビリティへの貢献」(バイオマスプラスチックPLAと間伐材の混合材料の成形システムに続き、独自のPLA射出成形テクノロジーに磨きをかけ、プラスチックのサステナビリティを追求すること)、「人的資本の強化」、「DXを駆使した製品の進化」、「資本コストと株価を意識した経営と株主還元」。
「プラスチック」というだけで、現在は向かい風を受けている印象を持ちがちだが、プラスチックは豊かな社会の構築に不可欠である。
同社がその環境に配慮した技術開発や製品販売を通じて、脱炭素社会の形成と資源循環システムの構築に貢献し、プラスチックのサステナビリティを追求すること。それは、同時に同社が環境負荷の小さい循環型ビジネスを確立させることをも意味する。
同社は、"リーディングカンパニー"として、そのことを実現し、プラスチックに対する社会通念を打破し、プラスチックの資源としての有用性を啓蒙すると社長は力強く語られた。
そこに見たのは、創業者である青木固氏から続いているDNAにほかならない。
長野県坂城町で「技術力でプラスチックのサステナビリティを追求する」という高邁な取り組みを世界に先駆けて行っている企業が存在していることを覚えておいて欲しい。
----------------------------------------------------------
取材後記は以上です。いかがでしたか。
本日の放送はPodcast配信にて早速アップされております。
それでは来週もお楽しみに!
(関連ウェブ)
■日精樹脂工業 IRサイト https://www.nisseijushi.co.jp/ir/
代表取締役社長 依田 穂積 様と




