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4月15日(日)に中山競馬場で行われる第78回皐月賞(GI)に登録しているタイムフライヤー(牡3、栗東・松田国英厩舎)について、追い切り後の松田国英調教師のコメントは以下の通り。

(前々走のホープフルS1着を振り返って)
「ホープフルステークスというのは中山の2000mということで、皐月賞のレースにいろいろコピーできる部分があるのでないかと思っています。当厩舎はなかなか皐月賞が獲れなくて、どうしたら良いのかなということでしたが、タイムフライヤーという馬に恵まれました。朝日杯を使うのか、ホープフルステークスを使うのかという時も迷うことなくホープフルステークスに決めました。クリスチャン・デムーロ騎手が以前は乱暴に勝ちに行くイメージでしたが、去年はGIを勝ってきたという自信もあるのか、馬をフェアに動かすことができていました。ホープフルステークスを勝てたのは、当厩舎のスタッフの頑張りも大きかったかもしれません。しかし、やはりクリスチャン・デムーロ騎手の技というのが随所に光っていました。武豊騎手の騎乗馬を前に置いて、その後ろを迷うことなく追走するということで、向正面でもスムーズに上がって行きました。タイムフライヤー自身はダービーぐらいの時期になってくると、完成度が高まって、走りやすくなってくるのかなと思います。トモが緩いと言うのですかね、緩いというのが良い場合と、ジョッキーの技が勝ち負けに影響するのですが、追走する時に引っ張っては駄目なのです。スムーズに向正面から4コーナーまで武豊騎手の後ろを追走できました。4コーナーで外に1頭馬を置いて、遠心力で外にふくれるリスクを最小限度にして上がって行けました。本当にクリスチャン・デムーロ騎手が随所にナイスプレーをして勝利に結びつけられたと思います」

(前走の若葉S5着を振り返って)
「クラシックの場合は目に見えない疲労が語られますし、自分も感じるところですが、過酷な競馬と輸送する緊張感を踏まえて、計り知れない負荷が考えられます。叩いて良くなる場合に、どのぐらいの強い負荷をかけたら(状態を)戻せるかなということで、2歳の萩ステークスの後は1ヶ月に1回のレースを想定して、若葉ステークス、皐月賞で戻せるか戻せないか、超回復を期待できるかどうかを馬自身に覚えてもらいました。厩舎スタッフも頑張りどころなので、相当ダメージを受けてくるわけです。それをどれだけ回復させるかというのが、GIを狙う場合には必須です。今年は弥生賞に強い馬が集まるということ、スプリングステークスは1800mで出走させる状況下をオーナーサイドに説明する術を、私は持ち合わせていないということで、若葉ステークスを叩きました。皐月賞を勝ちたいがために、新潟で新馬戦を迎える時からプランは描いていました。
1コーナーまでの位置取りに失敗しました。トモが緩い馬なので、ゲートを出てから1ハロンぐらい進めたところで、内側から連鎖的にトントンと、外にふくれた馬に当たって、バランスを崩しました。ルメール騎手は3コーナーまで後ろの位置で馬が大丈夫かどうか、ゴールまで入れるかどうかをじっと確認していました。単勝1.2倍の馬がアクシデントで後ろに位置した場合には、前に行っている馬はどこにタイムフライヤーがいるのかということで、3コーナーまで数値化ができないようなスローなペースに流れていきました。3コーナーからは、それぞれの馬が外に出しながら速いペースになっていきました。タイムフライヤーは一番後ろだったので、その外からまくって行かなければなりませんでした。レース自体は34秒9で上がっていますが、実際この馬は半マイル以上脚をずっと使って、上がっています。馬がバテるくらい走ったことが想定外というか、普通は2ハロンや3ハロンの決め脚で勝つだろうという想定が、半マイル以上脚を使って、初めてタイムフライヤーの脚が上がったのを見ました」

(前走後の調整について)
「先週の頭くらいまでは、トモの爪の踏み込みが浅くて、背中の疲れが取れなくて、皐月賞は辞退かなというのも考えていました。先週の追い切り前は、いつそれを公表するかぐらいの気持ちでいました。1日ずらして木曜日に追い切っています。それは本当は水曜日に追わなければいけないのが、JRAの獣医師と連携して、ケアに1日余分にかけたことで、木曜日に追い切りました。やはりその状態では最後の1ハロンの反応が悪いということで、これを休ませて回復を待つのか、追い切りをやってスタッフによる超回復が叶うのか、駄目かな、というのが先週の木曜日でした。追い切って結果的に数字はきちんと並んでいますが、最後の1ハロンは甘くなってしまいました。
追い切った後、トモの踏み込みが良くなりましたので、また週末に時計を出して、これで競馬に行ける状況になりました。
しかし、想定外の疲労が大丈夫かなというところまでいったのは事実です。それらをクリアして、今週は火曜日の時点で踏み込みがしっかりしていましたし、脚の運びが弾んでいました。そうなってくると、トモの緩い馬はどうしてもハミに重なるわけで、最後の1ハロンで反応しないのです。トモの脚の運びが活発になってくると、バランスバックして、脚の運びが反応に直結するようになってきます。今日は内田博幸騎手には良い状態で渡しています。だいたい皐月賞の時期の併せ馬は1000万クラスの馬と併せて調整するのが普通のパターンですが、それでは超回復という状態を作れないということで、あえて今週は重賞を使う馬と併せ馬をしました。ですから、今日は相当攻めた追い切りができたと思います。自分が見ている範疇では、向正面の流れも、3、4コーナーの溜めも利いていました。直線で弾ける状態もきちんとバランスバックできて、申し分のない仕上げに見えました。
勝ち負けは相手関係によります。ただ、この馬の能力を出せるところまでは来たなという感じがします。やはり他の陣営も1回出走させて、叩いて良くなるという超回復をテーマにやってきていると思います。タイムフライヤーも危なかったですが、超回復のステージを上手く乗り越えて、今日の調整を終えています。その日その時のリバウンドを上手く利用できれば、この馬が競馬をした中で一番競馬がしやすくなり、また完成度の高い状況でレースに臨めると今は考えています」

(今回のレースに向けて)
「能力はあるということで、新馬は新潟からスタートさせました。なかなか上手に競馬ができないものだなと思いました。新馬で勝った馬が札幌2歳ステークスを勝つわけですから、結構強いメンバーと競馬を重ねています。自分としては、ダービーの方が戦いやすいだろうなと思います。しかし、逃げてはいけないので、厩舎の技術力をもって皐月賞を勝ちたいです」

(取材:米田元気)

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