「自動車株強く、半導体関連株が弱い」
「三井ハイテックストップ安、半導体落ち込み予想以上」
「法人企業景気予測調査、食品の増益率拡大」
「海外からの仕入れ価格低下、国内販売価格上昇」
9月13日の日本株は売り買い交錯の展開です。タイヤメーカー、保険株、海運株が買われました。トヨタが約1週間ぶりの高値更新、ホンダ、マツダ、スズキも新高値になるなど、自動車株も上昇しました。一方で、半導体関連株は総じて下げました。
三井ハイテック(6966)が売られ、ストップ安です。前日に7月上半期決算を発表、今2024年1月期の営業利益を下方修正(226億円→160億円)しました。
下方修正内容を見ると、産業界の動きが浮き彫りになります。三井ハイテックの事業は、大きく分けて2つです。1つ目は、ハイブリッドカーや電気自動車に使われるモーター向けの部材、2つ目は、半導体向けのリードフレームです。
三井ハイテックの電動自動車向けビジネスは好調ですが、半導体向けリードフレームが落ち込んでいます。PCやスマホ需要が回復しないため、足元の半導体需要も予想以下です。そして、株式市場では、自動車株が相次いで高値更新する一方で、半導体関連株は総じて上値が重い展開です。産業界の動きと整合性が取れていますね。
生成AI関連株のオラクルが米国市場で急落(13%安)しました。オラクル株急落で、生成AI関連株を短期的には買いにくくなったことも響いています。
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内閣府は13日、7-9月期の法人企業景気予測調査を発表しました。2023年度の売上高見通しは、3か月前の予想と同じ+2.7%、経常利益見通しは3か月前の-4.4%に対して「-3.9%」となりました。
7-9月法人企業景気予想調査
今年度経常利益予想
(カッコ内は前回予想)
全産業 -3.9%(-4.4%)
製造業 -10.7%(-9.9%)
非製造業 -1.4%(-2.4%)
今年度の経常利益は、前回予想と比べて、製造業の減益率が拡大、非製造業は減益率が縮小しました。全体では減益幅縮小です。
業種別の動向を見てみましょう。カッコ内は前回予想です。
(主な増益業種)
食料品 +33.6%(+17.9%)
紙パルプ+33.0%(+58.9%)
窯業土石+49.1%(+31.8%)
電力ガス+789%(+37.5%)
小売 +6.2%(+5.8%)
情報通信 +1.5%(+0.3%)
食料品の増益率が前回予想と比べて上方修正されました。原料仕入れ価格の落ち着き、販売価格引き上げ効果によるものでしょう。窯業土石の増益率も上方修正されました。ガラスやセメント業界などがここに入ります。こちらも値上げ効果によるものと考えられます。製紙業界も高い増益を予想しています。
(主な減益業種)
鉄鋼 -24.0%(-12.5%)
非鉄金属 -29.1%(-30.8%)
生産用機械 -20.8%(-25.5%)
業務用機械 -19.1%(-14.3%)
情報通信機械-30.4%(-29.0%)
自動車関連 -7.0%(-8.3%)
建設業 -8.6%(-6.7%)
卸売業 -4.3%(-2.1%)
エレクトロニクス関連企業の減益率がやや拡大しています。これは、足元の半導体需要の弱さを反映しています。
自動車関連も減益見通しです。株式市場ではこんなに自動車関連株が強いのに、減益見通しです。意外感があります。法人企業景気予想調査の対象企業は約90万社(製造業14万社、非製造業75万社)です。上場企業よりもケタが2つ違います。上場企業よりもずっと規模の小さい企業を含めると、日本企業の業績動向は厳しい環境にあるのですね。
TOPIXが33年ぶりの高値を付けるなど、最近の東京株式市場は温まっています。これは海外の成長を取り込むグローバル企業の価値が向上しているためでしょう。
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日銀が13日発表した8月の企業物価指数は、前年同月比+3.2%、前月比+0.3%となりました。
企業物価指数(前年同月比)
5月+5.1%
6月+4.1%
7月+3.4%
8月+3.2%
輸入物価指数(前年同月比)も見てみましょう。
輸入物価指数(円ベース)
5月 -5.4%
6月-11.5%
7月-14.4%
8月-11.8%
輸入物価指数は前年同期と比べて大幅な低下が続いています。海外からの仕入れ価格の低下が継続する中で、販売価格の引き上げによって利益を享受する企業の増加が予想されます。先述の食品メーカーの利益拡大につながっています。
9月13日午後3時10分記