「オラクル13%安、生成AI関連株への影響を警戒」
「クラウド市場拡大鈍化?、AI開発需要に連想」
「原油価格上昇、物価の変動要因に」
「8月CPI(13日発表)の注目点は」
9月12日の米国株は下げました。下落率は、NYダウが0.06%、ナスダック指数が1%強でした。
11日通常取引終了後に6-8月期決算を発表したオラクル株価が13.5%安となりました。
オラクルの株価(12日)
109.61ドル(-17.10ドル、-13.50%)
オラクルの時価総額は1日で約460億ドル(6兆8000億円)も減少しました。6-8月期のクラウドサービス事業の売上高は95億ドル(前年同期比+13%)でした。クラウド事業の伸びが鈍いとして、大幅安です。
オラクルの決算資料には次のような記載があります。
「生成AIには何十億ドルもの投資が行われている。AI開発企業はオラクルのCloudで40億ドル以上の容量購入契約を結んでいる。これは、当社が5月末に予約した金額の2倍だ」
生成AI市場への取り組みがアピールされています。しかし、株価は大幅安です。けっこう、意味合いは大きいですね。
オラクルは決算発表当日の11日に52週高値127ドルを付けていました。生成AI関連の高バリュエーション銘柄の代表格です。オラクルは世界を代表するCSP(クラウド・サービス・プロバイダー)です。CSPとは、クラウドデータを活用して生成AIを開発します。
アマゾン、マイクロソフト、グーグル、IBM等のCSPがデータ解析のために大量の半導体を活用してAI市場を前進させるとの大きな方向性があります。オラクルの株価が「クラウドの伸びが鈍い」として急落した事実は、AI関連株の短期的な動きに影響を与える可能性があります。
12日の米国市場では、マイクロソフト、アドビ、グーグル(アルファベット)、アマゾン等のクラウド関連株が下げています。
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12日の米国市場では原油価格が89ドル台まで上昇しました。原油価格はインフレ動向を見る上で焦点の1つです。
米国時間9月13日に8月の消費者物価指数が発表されます。
米国消費者物価指数の上昇率
総合
6月 +3.0%
7月 +3.2%
8月 ?(+3.6%?)
コア(食品・エネルギー除く)
6月 +4.8%
7月 +4.7%
8月 ?(+4.3%?)
8月の消費者物価指数は、総合では7月の上昇率を上回り、コアでは7月を下回ると見られています。足元では、原油価格の動きが消費者物価指数の変動要因です。
「総合物価指数」の伸び率は、6月、7月と「コア」の伸び率を下回っています。これは、原油価格下落が総合物価指数の抑制要因となっているためです。
前月7月のエネルギー価格は前年同月比-12.5%、ガソリン価格は前年同月比19.9%となりました。前年同月と比べて原油価格が下落しています。
しかし、足元では原油価格は下げ止まりを経て、上昇してきました。現状では1バーレル89ドル前後です。昨年の原油価格動向に照らし合わせると、原油価格の「前年同月比」は、8月は下落率が縮小し、9月以降は横ばいに近い状態になりそうです。
昨年(22年)の原油価格レンジ
6月 101~123ドル
7月 90~111ドル
8月 85~98ドル
9月 76~90ドル
原油価格による変動分を考慮して、米国物価を直視する必要性があります。8月CPIにおいて、総合の物価上昇率拡大を重視するか、コアの物価上昇率鈍化を重視するか、注目点となります。
食品価格の動向にも注意です。先週に発表されたISM8月サービス業調査において、企業側のコメントで次のような見方が掲載されていました。
「カリフォルニア州では7月に最低賃金の引き上げや(家畜の健康と福祉に関する法律)が施行され、豚肉価格が大幅に上昇した。」[宿泊・フードサービス]
食肉の供給が抑制され、肉の価格が上昇してくる可能性があります。
9月13日午前6時45分記