「8月雇用統計、バランスの取れた内容に」
「6-8月の雇用増加数は1か月平均15万人(2-5月は23万人台)」
「労働参加者率上昇を受けて失業率急上昇(3.49%→3.78%)」
「1日の米国株は小動き」
「原油価格は昨年11月以来の86ドル台」
9月1日の米国株式市場は、NYダウが小幅高となる一方で、ナスダック指数は小幅安でした。
NYダウ 34,837.71ドル(+115.80ドル、+0.33%)
ナスダック指数 14,031.81P(-3.15P、-0.02%)
労働省は1日、8月の雇用統計を発表しました。非農業雇用者の増加数は堅実な水準でしたが、7月、6月のデータが下方修正されて、雇用鈍化を示す内容でした。一方で、失業率の大幅な上昇は雇用の悪いデータに見えますが、内容を見ると、労働参加者の増加が要因なので、強めの労働市場と受け止めることもできます。雇用統計は全体的にバランスの取れた内容であり、投資家に安心感をもたらしたと考えます。以下にデータを記載します。
米国雇用統計の推移
非農業雇用者増加数 失業率
1月 472000人 3.43%
2月 248000人 3.57%
3月 217000人 3.50%
4月 217000人 3.39%
5月 281000人 3.65%
6月 107000人 3.56%
7月 157000人 3.49%
8月 187000人 3.78%
8月の非農業雇用者雇用者18万7000人ととなりました。一方で、7月は前月発表の18万7000人に対して3万人下方修正されました。6月-8月の3か月の平均は15万人です。2-5月平均の23万8000人と比較すると、雇用の増加ペースは鈍化しています。
失業率は3.78%となり、7月の3.49%に対して0.3%P近く上昇しました。これは労働参加者の増加によるものです。以下に示します。
8月の増加数
労働参加者 73万6000人
雇用者 22万2000人
失業者 51万4000人
労働市場の外にいた米国民が労働市場に参加したため、失業者が増加し、失業率が上昇しました。「雇用者の増加を伴う失業率の上昇」ですので、「悪くない失業率の上昇」です。労働参加率は62.8%となり、7月に対して0.2%P上回りました。
次に、平均時給の推移を見てみましょう。
民間企業全産業の平均時給の推移(ドル)
1月 33.02(+4.39%)
2月 33.11(+4.67%)
3月 33.20(+4.30%)
4月 33.34(+4.35%)
5月 33.45(+4.33%)
6月 33.60(+4.41%)
7月 33.74(+4.36%)
8月 33.82(+4.28%)
ごくわずかですが、賃金上昇率は低下しました。FRBは、インフレ抑制のために賃金上昇率の鈍化を望んでいます。道半ばのようです。
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ISMは1日、8月の製造業景況指数を発表しました。メイン指数のPMIは、前月比1.2%上昇の47.6です。以下に示します。
PMI 47.6(+1.2)
新規受注 46.8(-0.5)
生産 50.0(+1.7)
雇用 48.5(+4.1)
価格 48.4(+5.8)
雇用や価格の項目指数が前月比で大幅に上昇しています。米国の労働者はサービス業が製造業の約10倍ですので、全体の雇用状況を見る上では、サービス業の雇用指数(9月6日ISMサービス業景況指数発表予定)を参考にしたいと思います。
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1日の原油先物価格は上昇しました。昨年11月以来の1バーレル86ドル台です。Ⅰ日の米国株式市場では、シェブロンとエクソンモービルが約2%高、BPやペトロブラスも2%~3%の上昇率となっています。週明けの東京株式市場でも、引き続き原油関連株、INPEX(1605)等の株価動向が関心を呼びそうです・
9月2日午前7時30分記