「日本株上昇」
「日経平均32000円水準になると底堅い?」
「INPEX大幅上昇」
「キヤノンMJのM&A、大いなる意味合い」
「M&A活発化、日本株上昇の必要条件」
8月10日の日本株は堅調な展開です。米国株安を受けて、安く始まりました。日経平均の寄り付きは、前日比で190円ほど下げました。この寄り付き値が安値となりました。日経平均が32000円に近づいたり、割ったりする場面では買う勢力の存在が認識されました。
決算内容を受けて、上がる株、下がる株、様々です。「増配・自社株買い・自社株消却」を発表したINPEXが大幅高、「利益急増・株式分割」を発表したホンダも買われました。一方で、ソニーグループ、オリンパスは決算内容が嫌気されて売られました。
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キヤノンマーケティング・ジャパン(8060)は9日、東京日産コンピュータシステム(3316)へのTOB(株式公開買い付け)の実施を発表しました。完全子会社化を目指します。
キヤノンマーケティング・ジャパンは昔の社名が「キャノン販売」です。キヤノン製品の販売を主軸としながら、ITサービス事業の比重を高めています。キヤノンの事務機器を購入した顧客に対するITコンサルティング業務の拡大を目指しています。
一方で、東京日産コンピュータシステムは自動車ディーラーの日産東京販売HD(8291)の子会社です。企業のIT投資を請け負うビジネスを展開しています。
キャノンマーケティングは、TOBを通じて親会社の日産東京販売から東京日産コンピュータの株式を買い取ります。TOB価格は1748円です。東京日産コンピュータの9日終値は913円でした。
10日の東京株式市場では、この3社の株価が上昇しました。東京日産コンピュータの株主にとっては、時価よりも9割も高い株価で株を買い取ってくれるのだから、好感されるのは当然です。日産東京販売にとっては、株式売却によって多額の現金が入り、その現金を今後の事業展開に役立てることができる。そしてキヤノンマーケティングは東京日産コンピュータの事業基盤・エンジニアを手に入れることによって、今後のIT事業の拡大を目指すことができる。3社の株主にとって、良いニュースと受け止められました。
ここに「今後の日本株再上昇のための必要条件とは?」の問いに対する回答があります。日本企業を対象としたM&Aが活発になれば、「株式会社ニッポン」の全体像の価値上昇の期待値が上がります。それが今後の株式市場のポイントです。
様々な事業の買収・売却が活発になれば、経営改革に対する日本企業の本気度が浮き彫りになり、海外投資家が日本株を買う動機付けになります。
8月11日午後3時記