「日本の長期金利上昇、0.6%台が限界か?」
「長期金利限界・円高限界→日本株上昇」
「トヨタが1か月半ぶりの新高値」
7月31日の日本株は上げました。TOPIXは7月3日に付けた取引時間中の高値を抜きました。日銀は先週金曜日に政策修正を発表しました。10年債利回りについて、1.0%までの上昇を許容します。31日の10年債利回りは、0.6%程度まで上昇しました。
長期金利が1.0%まで上昇(価格は下落)しなければ、日銀は買い支えません。しかし、0.6%までの上昇(価格は下落)にとどまりました。「もっと上がっても良いよ」と言っているのにさほど金利は上がらない。日銀の政策修正を受けて、逆説的に「日本の長期金利上昇の限界」が確認されました。確かに物価は上昇しているが、人口減少社会を迎えている日本の成長力は乏しく、金利上昇余地も小さい、その見方が本日の債券市場の動きに反映されています。
金利の上昇余地が小さければ、円の買われる余地も小さくなります。円高進行余地の限界が意識され、日本株買いに勢いが増した面もあります。
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トヨタが6月15日の年初来高値を更新しました。先週金曜日までに発表されたトヨタグループの決算が総じて好調な内容です。本日発表の6月鉱工業生産指数では、自動車産業の生産が前月比+6.1%となって全体の上昇をけん引しています。豊田通商は株価上昇率が9%超に達しています。
トヨタは28日、保有するKDDI株の一部売却も発表しました。保有資産見直しも株価にはポジティブな材料となりました。
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経済産業省は31日、6月の鉱工業生産指数を発表しました。
6月の鉱工業生産指数(前月比)
生産 +2.0%
出荷 +1.5%
在庫 -0.1%
自動車産業の生産回復が確認されました。
業種別生産指数
自動車 +6.1%
電子部品 +6.8%
汎用・業務用機械 +2.3%
7月の生産予測値は前月比-0.2%、8月は+1.1%となりました。7月の業種別生産予測値を以下に示します。
鉄鋼 +3.7%
非鉄 +5.5%
電子部品 +8.0%
輸送機械 +3.5%
紙パルプ +10.1%
金属製品 -3.7%
汎用業務用機械 -3.9%
電気機械 -2.0%
情報通信機器 -3.3%
ここまでの決算発表内容を見ると、パソコンや携帯電話の需要不振を受けて、電子部品会社の業績が悪化しています。しかし、「電子部品・デバイス産業」については、6月の生産実績、7月の生産予想値ともプラスです。電子部品産業に底打ちのデータが示されていることが注目されます。当面、電子部品会社の厳しい決算内容が明らかになる見通しですが、株価は底打ちを意識する可能性が高くなったように見えます。
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中国国家統計局は31日、7月PMIを発表しました。時系列で示します。
中国のPMI
製造業 サービス業 建設業
4月 49.2 55.1 63.9
5月 48.8 53.8 58.2
6月 49.0 52.8 55.7
7月 49.3 51.5 51.2
7月の中国製造業PMIは50割れですが、2か月連続して上昇しました。サービス業は4か月連続の低下です。建設業は50を保っていますが、急低下しています。不動産投資への警戒感を反映しています。
7月31日午後3時10分記