「決算発表→株安の反応を警戒」
「富士通ゼネラル、KOAが下落率上位に」
「代理店に在庫潤沢、生産低迷に警戒」
「シマノも下方修正、在庫高水準」
7月26日の東京株式市場は、売り買い交錯の展開でした。半導体関連株の上昇が全体を支えました。しかし、相場の中身を見ると、警戒を要する動きと感じています。
前日25日の決算発表銘柄が売られました。
25日に決算を発表したKOA(6999)がプライム市場における下落率上位に入りました。ハイブリッドカーや電気自動車向けの電子部品(抵抗器)を供給します。25日発表の4-6月期営業利益が67%減益となりました。北米ディストリビューター(代理店)や中国の自動車メーカー向け需要が低迷しました。
中国の国家統計局から発表されている電気自動車生産のデータは悪くはありません。以下に国家統計局発表の工業生産高からデータを引用します。
中国の新エネルギー車の生産動向(前年同月比)
4月 58万6000台(+85.4%)
5月 67万5000台(+43.6%)
6月 74万9000台(+27.6%)
しかし、KOAは大幅減益です。「北米ディストリビューター向け低迷」としています。卸売業者の在庫量が高いため、最終製品の生産と比較して部品の需要が低水準にとどまっていると推計されます。
「コロナ禍のサプライチェーン不安」の元で、各企業が在庫の積み増しを進めました。現在はサプライチェーン混乱が収まりました。過剰な在庫は必要なくなり、在庫水準を減らす段階となりました。そのため、最終需要と比べて部品生産が低水準にとどまっているのでしょう。
自転車部品メーカーのシマノ(7309)は25日、23年12月期の営業利益について、従来計画の830億円に対して700億円(前期比-58%)に下方修正しました。高い在庫水準に対して販売が緩やかな回復にとどまり、下方修正です。
エアコンメーカーの富士通ゼネラル(6755)も大幅安です。25日に発表された4-6月期の営業損益が6億円の赤字となりました。売上高は18%減少です。会社側では「販売代理店の保有在庫が潤沢となり、追加受注が一時的に鈍化傾向」として、4-6月期の減収要因を説明しています。やはり、代理店の在庫増が業績悪化の要因です。
富士通ゼネラルでは、今年度の米州とアジアの売上高計画を下方修正しました。エアコン業界の在庫動向も警戒されます。
今回の4-6月期決算では、在庫調整の進展具合が焦点になります。
電子部品メーカーのSMK(6798)も26日午後1時30分に決算を発表、業績見通しを下方修正し、売られました。まだ決算のサンプルは少ないので決め打ちは危険ですが、電子部品メーカーの業績動向が警戒されます。
26日の東京株式市場では、前日の日本企業の決算内容を参考に、現実的な収益状況をネガティブに捉える動きが先行しました。
7月26日 午後3時10分記