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「ドル安円高を警戒、日本株は下落」

「米国とドイツ、両国とも10年債利回り=30年債の利回り」

「日本は10年債0.46%、30年債1.3%」

YCC修正思惑...」

6月企業物価指数、輸入物価指数が11.3%低下」

 

 

7月12日の日本株は下げました。円高の進行を受けて、海外売上高の高い業種(電機、機械、商社)に売りが膨らみました。

 

 

為替市場でドル安円高が進みました。7月28日に日銀金融政策決定会合の結果が発表されます。YCC(イールドカーブコントロール)政策の修正が行われるのではないか、との思惑が広がり、先行きの日本の金利上昇を意識して円が買われています。

 

 

現状のイールドカーブコントロール政策では、10年債利回りの変動幅は、ゼロを挟んで上下0.5%に設定されています。この上下幅が0.75%、あるいは1%に広げられるとの思惑です。仮に実施されるならば、それは10年債利回りの上限引き上げとの政策になります。

 

 

現状の日本の10年債利回りは約0.46%、30年債は1.3%です。他国の10年債利回りと30年債利回りと比べてみましょう。

 

 

米国は10年債、30年債利回りとも約4%、ドイツも、10年債、30年債利回りとも約2.65%です。つまり、米国とドイツでは10年債と30年債の利回りがほぼ同じです。

 

 

イギリスは10年債利回りが4.66%、30年債が4.73%、こちらもほとんど同じです。

 

 

となると、仮にYCC政策が撤廃されれば、日本国債も10年債金利が30年債金利とほぼ並ぶとの発想が引き出されます。現状で0.45%の10年債利回りが一気に1%を超えてしまう可能性が生じます。10年債利回りが急に1%を超えれば、株式市場のみならず、リアル経済にも大きな影響を与えますので、YCC撤廃は現実的ではないでしょう。

 

 

でも、日本国債が売られて利回りが上昇する圧力を受けて、日銀がYCC修正に踏み切れば、市場の圧力に屈した形となります。できれば、日銀は、金利が落ち着いている環境下で政策修正を行いたいでしょう。だから、政策修正のタイミングは難しい。

 

 

「7月のYCC修正」も、かなり思惑が先行している面があります。あくまでも「今後の日本の物価は上昇するのか」、ここを判断材料にして、冷静に考える必要があります。

 

 

7月7日に発表された5月の「毎月勤労統計・現金給与総額」(5人以上の常勤雇用者の事業所が対象)は283868円(前年同月比+2.5%)となりました。4月は「+0.8%」でしたので、5月の給与増加率「2.5%」は、4月を大きく上回りました。

 

 

賃金上昇データは、物価を見る上で重要な意味を持ちます。しかし、5月の「決まって支給される給与」の伸びは1.7%にとどまっています。何よりも、5月1か月だけの給与の2.5%伸びで日銀が判断を下すのは、気が早いように見えます。

 

 

そして本日12日には、日本銀行から「6月の企業物価指数」が発表されました。

 

 

6月の企業物価指数

        前月比    前年同月比

国内物価指数 -0.2%   +4.1%

輸入物価指数 -1.2%  -11.3%

輸出物価指数 +1.1%   +0.4%

 

 

6月の輸入物価指数が大きく下落しています。原油、一般炭、LNG、銅、モリブデン、パラジウム等の資源価格下落が輸入物価指数を押し下げています。企業間取引における資源価格の急激な下落は、先行きの国内物価の低下につながります。

 

 

本日のように、「YCC修正思惑」が広がって、「円高進行」となると、この企業物価指数のような「将来の物価上昇抑制を示すデータ」も霞んでしまいます。ただ、マーケットの動きにかく乱されないような姿勢が大切と考えます。

 

 

                  ☆

 

 

12日の東京株式市場では、海外売上高比率の高い株を売り、内需株を買う動きが活発になりました。「ドル安円高・日本の金利上昇」を重視した銘柄選択が投機色を帯びています。小売業のローソンが、昨日の決算内容を好感してストップ高となりました。パルグループ、タマホーム、松屋、ニトリなど、内需関連株がプライム市場の上昇率上位銘柄のランキングに入っています。

 

 

マーケットは、目の前に出された材料を目いっぱい拡大解釈します。好材料・悪材料を一気に織り込むマーケットの習性が内需関連株の急騰に反映されています。

 

 

7月12日午後3時10分記

 

 

 

 

 

 

 

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