「米国株小幅安、原油高」
「長期金利はSVB破綻後、最も高い水準に、4%接近」
「6月FOMC議事要旨公開、FED WATCHの政策金利見通しは変わらず」
「日銀発表の1-3月需給ギャップはマイナス続く」
7月5日の米国株は下げました。下落率は、NYダウが0.38%、ナスダック指数は0.18%でした。
6月に開催されたFOMCの議事要旨が公開されました。複数の(SOME)参加者が利上げを続けることを支持していました。ただ、FED WATCHにおける政策金利見通しには、大きな変化を与えませんでした。
原油価格は3%ほど上昇して72ドル台となりました。米国10年債利回りは0.08%Pほど高い3.94%です。3月10日のシリコンバレー銀行破綻後、最も高い水準にあります。
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日銀は5日、23年1-3月期の需給ギャップを発表しました。「-0.34%」となりました。マイナス圏は、需要を供給が上回っていることを示します。
製造設備の稼働状況から算出される「資本投入ギャップ」は「-0.46%」となりました。労働時間や労働者数から算出される「労働投入ギャップ」は「+0.12%」となりました。国内の生産活動では、需要が供給面に対して足りない一方で、労働需給については、需要が供給を上回っていることを示します。この2つと数値の合計が「-0.34%」です。時系列で示します。
需給ギャップの推移
2020年
1-3月 +0.39
4-6月 -4.20
7-9月 -2.94
10-12月 -1.71
2021年
1-3月 -1.36
4-6月 -1.64
7-9月 -1.73
10-12月 -1.56
2022年
1-3月 -1.05
4-6月 -0.79
7-9月 -0.14
10-12月 -0.37
2023年
1-3月 -0.34
需給ギャップは2020年4-6月期以降、マイナスの推移が続いています。つまり、コロナ禍以降、マイナスの推移、需要量が供給量に満たないとされる状態が続いています。
労働投入ギャップについては、昨年4-6月、同7-9月、そして今回1-3月にプラスになりました。人手不足の影響が労働投入ギャップの上昇をもたらしています。
一方で、資本投入ギャップはまる3年間、マイナスの状態が続きます。国内の生産設備が需要に対して過剰感があると考えられます。
価格は基本的に需給によって決まります。需給ギャップがマイナスなので、今後の国内物価について日銀は前向きな見方を取れないでしょう。従って、今回のデータは、日銀の緩和的政策が継続するとの見方につながります。
円安進行に伴い、企業が国内生産の比率を高めると、国内生産設備の稼働率が上がり、資本投入ギャップは縮小に向かいます。
サプライチェーン再構築に伴う中国から日本国内への生産シフト、あるいは円安に伴う国内生産シフト、この本格化が資本投入ギャップ縮小のカギです。
「日銀の金融政策強化→円安進行→国内生産比率上昇→需給ギャップ改善(プラス回帰)→物価上昇→日銀の金融政策転換→円安に歯止め」
こんなサイクルが予想されます。ただ、マーケットを操作するのは容易ではないので、物価が上昇して金融政策の転換があっても円安が止まらないこともあり得ます。それは来年以降に考えるテーマでしょう。
7月6日午前5時30分記