「一時380円安後、下げ渋る」
「"上値33700円台"、突破はあるか?」
「日本株再上昇の条件とは?」
「TSMC、10日に6月月次売上高を発表」
「NVDAからの生成AI開発用半導体受託生産、本格的増加示すか」
7月5日の東京株式市場では、日経平均が一時400円近く下げた後、押し目買いも入って、全般的には底堅い展開となりました。
ここまでの日経平均の取引時間中の高値は、33700円台です。6月15日、16日、19日、そして今週7月3日月曜日にも33700円台を付けました。4回とも33700円台で止まっているので、ここを抜くには、何らかの新しい材料が必要になるのか、考慮する段階です。
一方で、下げたところでは買いも入り、33000円前後では底堅さを見せます。
ここからの日本株一段高のための必要条件を考えてみましょう。
けっこう短期的なカタリストとしては、来週の月曜日、10日のTSMCの6月月次売上高の発表に注目しています。
TSMCの月次売上高の推移(単位億台湾ドル、前年同月比)
1月 2000(+16.2%)
2月 1631(+11.1%)
3月 1454(-15.4%)
4月 1479(-14.3%)
5月 1765(-4.9%)
5月の売上高は4月比で2割ほど増加していて、底打ち確認の可能性が高まっています。6月の売上高が注目されます。特に、今後NVDAから受託している生成AI開発用の半導体の売上高が増加するか、注目されます。NVDAは5-7月期の売上高110億ドルと2-4月期の71億ドルに対して5割の増加を計画しています。TSMCのNVDA向けの受託生産高は増えるはずです。TSMCの6月売上高が急増すると、半導体関連株人気の新しい幕が開く可能性があります。
その他、今後の日本株が再上昇するための必要条件を考えてみましょう。
➊米国株を軸に、世界の株式に資金が流入する中で日本株も一緒に上昇するパターン
この場合、世界の経済や企業業績が現状の投資家の予想よりも上に向かう必要性があります。
①14日に発表される米国金融機関の決算内容を受けて、米国金融機関の貸し渋り姿勢への警戒感が払しょくされる。
②18日から本格化する米国企業決算の内容が予想を上回り、株式の投資価値が向上する。
あるいは、マクロ指標が株高要因になることもあり得ます。
③12日に発表される米国6月消費者物価指数が市場予想を下回り、金融政策動向への警戒感が薄れる。
④5日発表の雇用統計で、米国経済の強さが確認され、経済や企業業績に対する期待値が上昇する。
上記の時の米国株高を描くことができます。
しかし、物価指数の低下は「過度な金融引き締めの可能性が薄れて経済や企業業績に楽観的な見方をもたらす」可能性がある一方で、「債券利回り上昇の確率低下を経て、投資家の債券買いを活発化させ、株式から債券への資金移動を促す」可能性もあります。
「マクロ経済データがこうなれば、必ず株価は上がる(下がる)」と決め打ちするのは危険かもしれません。株価形成上、企業価値に対する期待値が大切だと考えます。
もう1つ
➋ 米国株は上がらないが、日本株の強さは続くパターン
こちらも可能かどうか、考慮してみましょう。
①今週に活発化する小売業の5月締めの決算内容を受けて、日本の内需に対する期待値が上昇する
②今月下旬から本格化する6月締めの決算内容を受けて、日本企業独自の強さが認識される。
③企業決算において、円安の効果が反映されて日本企業の業績見通しが引き上がり、投資家の買いが活発化する。
④円売り、日本株買いの投機的トレードが活発化して、企業業績とは別の次元で株高場面が続く
⑤日本企業から事業再編やM&Aに関する発表が活発になり、体質変化への企業努力が投資家の再評価につながる
短期投資家は、③や④の要素を意識していると思われます。長期投資家は⑤を重視しているでしょう。
7月5日午後3時10分記