「一時400円近く下げた後、下げ幅縮小」
「予想PER15倍割れ、25日移動平均を意識」
「"JSR買収"――半導体の化学材料メーカーが軒並み高」
「日本企業、高シェア、半導体...」
6月26日の東京株式市場では、日経平均がおよそ400円下げた後、下げ渋りました。
日経平均は、寄り付き後まもなく、32392円の安値を付けました。23日段階の日経平均予想PERは15.05倍です。日経平均の予想1株利益は2178円です。計算上、32670円を割り込むと、6月12日以来の予想PER15倍割れとなります。
また、現状の日経平均25日移動平均線は32200円台です。本日の安値32392円は、この25日移動平均線まであと200円程度の位置です。
上昇してきた株式市場ですから、トレンドは上向きです。上昇基調が変わらないのならば、下げ局面のどこかで買う投資家が存在します。日経平均の予想PER15倍割れ、あるいは日経平均の25日移動平均線接近がひとまずの買い場として意識されたのかもしれません。
☆
JIC(産業革新投資機構)による買収が報道されたJSR(4185)がストップ高買い気配となりました。同社は半導体製造に使われるフォトレジストのトップメーカーです。フォトレジストは半導体線幅の極小化、半導体微細化のための重要素材です。
国防の観点からも半導体サプライチェーンの再構築が重要視されています。半導体製造プロセスに係わる企業の重要性が高まっています。日本としては、外資に買収されるのは好ましくありません。重要技術は日本国内で囲い込む宅なります。
企業買収では時価よりも高い水準におけるTOBがツールとして使われるケースが一般的です。企業買収の対象となった場合、TOB価格は時価よりもずっと高くなり、時価総額が増大する可能性が高くなります。本日は、JSRの例を参考に半導体製造技術を持つ企業の株価が上昇しました。
JSRと同様に半導体フォトレジストのメーカーである東京応化工業(4186)が大幅高、そのフォトレジストの原材料を供給している大阪有機化学(4187)も大幅高です。
また、化学メーカーのADEKA(4401)も大幅高です。ADEKAのHPから半導体材料に関する記述を以下に引用します。
「ADEKAの先端半導体メモリ向け高誘電材料「アデカオルセラ」シリーズは、世界シェアNo.1の半導体材料です。半導体の微細化に欠かせない製品群として現行世代からさらに数世代にわたって使用される見通しであるため、積極投資を実行しています。2022年7月には、今後の需要増に安定供給で応えるべく、生産能力増強の投資を決定し、現在建設中です。」(4月27日付ニュースリリース)
半導体を作るための素材でトップシェアを持ち、増産中との内容です。ADEKAの他、住友ベークライト、関東電化なども大幅高です。半導体製造で重要な役割を担う企業が株式市場で評価されています。
「半導体」、「日本企業」、「シェア」で検索すると、色々と調べることができます。そうした検索で浮上するフジミインコーポレッド(5384)やステラケミファ(4109)など、半導体製造の特殊分野で高シェアを持つ企業の株価が上昇しています。JICによるJSR買収は、日本株選別における重要なテーマを提供しました。
6月26日午後3時10分記