「総合商社株が買われる、ただ、日足で長めの上ヒゲ...」
「中国利下げ、香港株は安い」
「中国の消費は悪いのか? データ検証」
「ロームが買われる、パワーデバイスの中期成長期待」
6月20日の東京株式市場では、売り買い交錯の展開となりました。バフェット氏の保有株比率上昇が明らかになった総合商社株が午前中に急伸しました。高値を付けた後は伸び悩み、日足チャートでは、やや長めの上ヒゲを作りました。細かい動きを気にする必要はないのかもしれませんが、一応、日足の形を覚えておきます。
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中国人民銀行が20日、利下げ実施を発表しました。利下げ実施なので、当局は景気を刺激したい考えにあります。香港株は下げています。
中国の5月経済指標は予想以下、との捉え方が一般的です。実際のデータを検証します。5月の小売売上高です。
中国の小売売上高
4月 3兆4910億人民元(+18.4%)
5月 3兆7803億人民元(+12.7%)
5月の増加率「12.7%」は4月の「18.4%」を下回っているので、中国の消費は弱い、の論調が一般的です。しかし、売上高の水準3兆7803億人民元は、前月を8.2%上回っています。
昨年22年の4月小売売上高は「前年同期比-11.1%」、5月は「-6.7%」でした。つまり、今年の5月小売売上高の伸び率が4月を下回ったのは、前年同期の水準の違いによるものです。昨年4月の落ち込みが激しかったからこそ今年4月の伸び率が高くなりました。昨年5月の落ち込みが同4月ほどではなかったので、今年5月の伸び率は物足りないように見えるのです。水準が4月を8%も上回っているので、中国の消費はさほど悪くはありません。
次に工業生産高です。
中国の工業生産高
4月 +5.6%
5月 +3.5%
こちらも、5月の伸び率が4月を下回っています。工業生産高についても、昨年22年の伸び率を見ると、4月-2.9%、5月+0.7%です。昨年は、4月ほど5月は落ち込まなかったので、今年の「前年同月比」のデータは、4月と比べて5月は物足りない結果になったのです。
利下げ実施ですから、当局が景気を弱いと認識しているのは事実ですが、とんでもなく悪いというほどではないと考えます。中国需要は日本企業の4-6月期業績に対して強い逆風ではないと考えます。
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ロームは19日、ドイツの自動車部品メーカー「ヴィテスコ・テクノロジーズ」とSiC(シリコンカーバイド)パワーデバイスに関する長期供給パートナーシップ契約を締結したと発表しました。2024年から2030年までの期間で1300億円以上となるとしています。
ヴィテスコは、ロームのSiCチップを搭載したインバータの供給を、2024年から開始する予定で、既に2社の電気自動車への採用が決まっているとのことです。当初目標のスケジュールを前倒しするとしています。
ロームのSiC事業の23年3月期実績は300億円、24年3月期計画は400億円強です。28年3月期は2700億円が計画されています。
電気自動車の基本的駆動において、省エネを実現するキーデバイスがパワー半導体です。ロームはその中核銘柄です。ロームの株価が伸びると、三菱電機や富士電機、あるいはパワーデバイスの設備投資関連株の動向にも意識が高くなると考えられます。
6月20日午後3時10分記