「5月米国CPIは前年同月比+4.0%、米国株価上昇」
「6月FOMCの利上げ確率は8%に低下」
「日経平均先物、夜間取引で33540円まで上昇」
「日経平均の予想PER、15倍超に。コロナ禍期除くと2018年2月以来」
6月13日の米国株は上げました。上昇率は、NYダウが0.4%、ナスダック指数は0.8%でした。5月の消費者物価指数の内容を受けて、株高、債券安です。
5月の消費者物価指数
前年同月比 前月比
総合 +4.0% +0.1%
コア +5.3% +0.4%
総合物価指数の上昇率は前年同月比で+4.0%(4月は+4.9%)に鈍化しました。前月比では+0.1%(同+0.4%)でした。
コア指数も4月の5.5%に対して、5月は5.3%に縮小しました。前月比では、4月同様に+0.4%と高い伸びが続きました。
消費者物価指数の伸び鈍化が確認されたことで、6月FOMCにおける利上げ確率は8%に低下しました。7月FOMCでの利上げ確率は6割超を保っています。金融政策の見方に透明度が増したとの観点から、株価は上昇しました。
リスク選好で株式が買われる一方で、債券は売られました。10年債利回りは0.07%Pほど高い3.84%台に乗せました。
☆
大証の日経平均先物は夜間取引で上昇しました。日本時間の14日午前0時23分には33540円(通常取引終値比+510円)まで上昇しました。夜間取引の出来高は4万枚を超えています。過去5週間における日経平均先物期近の出来高は「日通し」で1日当たり5.6万枚~8万枚でした。夜間取引だけで4万枚超の商いは極めて高い水準です。日本株に対する関心の高さを示します。
6月13日の終値で日経平均の予想PERは15倍を超えました。以下に時系列で示します。
5月 日経平均 予想PER 予想1株利益
15日 29626円34銭 14.51倍 2041円
16日 29842円99銭 14.17倍 2106円
17日 30093円59銭 14.21倍 2117円
18日 30573円93銭 14.37倍 2127円
19日 30808円35銭 14.40倍 2139円
22日 31086円82銭 14.76倍 2106円
23日 30957円77銭 14.67倍 2110円
24日 30682円68銭 14.20倍 2160円
25日 30801円13銭 14.15倍 2176円
26日 30916円31銭 14.17倍 2181円
29日 31233円54銭 14.29倍 2185円
30日 31328円16銭 14.30倍 2190円
31日 30887円88銭 14.09倍 2192円
6月1日 31148円01銭 14.23倍 2188円
2日 31524円22銭 14.45倍 2181円
5日 32217円43銭 14.72倍 2188円
6日 32506円78銭 14.85倍 2189円
7日 31913円74銭 14.63倍 2181円
8日 31641円27銭 14.53倍 2177円
9日 32265円17銭 14.77倍 2184円
12日 32434円00銭 14.85倍 2184円
13日 33018円65銭 15.05倍 2193円
日経平均の予想PERの15倍超は、2021年5月以来です。しかし、この時は、コロナ禍において、業績見通しが混乱していた時期なので、参考になりにくいと思います。当時の決算発表で見通しが激変してしまい、PERが急低下しました。
2021年
4月
27日 28991円89銭 21.26倍 1363円
28日 29053円97銭 21.25倍 1367円
30日 28812円63銭 20.42倍 1411円
5月6日 29331円37銭 19.30倍 1519円
7日 29357円82銭 19.31倍 1520円
10日 29518円34銭 18.48倍 1597円
11日 28608円59銭 17.77倍 1609円
12日 28147円51銭 16.70倍 1685円
13日 27448円01銭 14.39倍 1907円
14日 28084円47銭 14.40倍 1950円
これでは、参考になりません。では、コロナ禍を除くと、いつ以来の15倍乗せか? 2018年2月18日以来となります。
2018年
2月1日 23486円11銭 15.22倍 1543円
2日 23274円53銭 15.10倍 1541円
5日 22682円08銭 14.47倍 1567円
この時は、先行きの業績に対して楽観的な見方が広がりました。3カ月後に明らかになる来期=2019年3月期の業績見通しが切り上がるとの期待からPERが上昇しました。そして、18年4月から5月にかけて発表された決算において、実際に業績見通しが切り上がりました。
2018年
4月
25日 22215円32銭 13.12倍 1693円
26日 22319円61銭 13.12倍 1701円
27日 22467円87銭 13.07倍 1719円
5月1日 22508円03銭 13.14倍 1712円
2日 22472円78銭 13.09倍 1716円
7日 22467円16銭 13.08倍 1717円
8日 22508円69銭 13.11倍 1716円
9日 22408円88銭 13.01倍 1722円
10日 22497円18銭 13.56倍 1659円
11日 22758円48銭 13.58倍 1675円
14日 22865円86銭 13.69倍 1670円
2018年5月の決算発表後、予想利益は上方修正されました。しかし、PERは低下して、株価水準は2月と変わらない、日経平均で22000円~23000円のままでした。業績向上を織り込んでPERが上昇する。その後、実際に利益増加を確認すると、PERは低下するパターンです。
株価は将来の企業業績を示しているので、日本企業の今後の利益水準は上がるはずです。しかし、13日発表の法人企業景気予測調査では、今年度経常利益見通しは下方修正されています。整合性が取れません。
結論は「中長期で日本企業の利益が増加する期待をPERは示している」ことになります。24年3月期ではなく、それこそ26年3月期や27年3月期の業績水準が切り上がることを日本株のPER上昇は示している、そんな仮説をひとまず意識しておきます。
6月14日午前6時10分記