「利益確定売り優勢に」
「日経平均、10日終値→23日高値=7.6%上昇」
「ここまでは、大型株>中型株>小型株」
「日本の5月PMIは歴史的高水準、サービス業拡大+製造業回復」
5月23日の日本株は、上昇後、反落に転じました。日経平均は10日終値29122円に対して23日取引時間中の高値31352円まで約2200円、7.6%上昇しています。大きく上昇してきた株価に対して本日は利益確定売りが優勢になりました。
相場全体が上がる時、大型株中心に買われます。日本株の場合、上値を買うのは海外投資家です。海外投資家が売買代金上位の高流動性銘柄を積極的に購入することで時価総額の大きな銘柄群ほどよく上がります。
4月末に対して本日の高値まで、TOPIX規模別株価指数がどのような動きになったか、以下に記載します。
TOPIX規模別株価指数(23日高値、4月末比)
大型 2101P(+7.1%)
中型 2448P(+5.6%)
小型 3778P(+3.2%)
やはり、時価総額の大きなグループほど、上昇しています。株価上昇によって投資家の資産内容は良くなっています。今後、日経平均の上値が重くなる展開の中で、ここまでの上昇が鈍かった小型株に出遅れ買いが入るのか、注目されます。
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S&Pグローバルは23日、日本の5月PMIを発表しました。
日本のPMI(5月、前月比)
総合 54.9(+2.0)
サービス業 56.3(+0.9)
製造業 50.8(+1.3)
発表元では「2007年9月の調査開始以来、2013年10月に次ぐ、史上2番目に高い水準」としています。米国の景気動向が警戒される一方で、日本ではサービス業の景況拡大継続に製造業の回復が加わって、歴史的に高い景況水準にあります。
製造業の景況指数は22年10月以来の50乗せとなりました。サプライチェーンの改善に伴う自動車生産の安定が寄与しています。4-6月期における日本企業の業績動向を見るうえでポジティブなデータです。このあたり、日本株が買われている背景要因の1つでもあります。
オーストラリアの5月PMIも発表されました。
オーストラリア5月PMI(前月比)
総合 51.2(-1.8)
サービス業 51.8(-1.9)
製造業 48.0(±0)
日本のPMIの方がオーストラリアよりもずっと強いですね。世界的に、資源関連産業よりも加工組み立て産業の業況が改善することを示すデータです。サプライチェーンが落ち着き、企業間の取引価格が抑制されています。
23日は順次、欧州、米国とPMI速報値が発表されます。金融政策よりも景気動向に関心が移っている状況です。株式市場は良好な経済データを求めています。
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23日の株式市場では製紙業界が業種別上昇率でトップとなりました。日本製紙(3863)は15%上昇しました。証券会社のレーティング情報を受け、大幅上昇です。値上げ進展が評価されています。
製品値上げと賃上げが同時に進めば、現金の価値が目減りします。1年後、2年後、3年後にだんだんと現金の価値が落ちるならば、人は現金を他のモノに替えようとします。日本人がインフレ時代の思考を取り入れると、2000兆円の金融資産が動きます。株式へのインパクトも大きくなります。
最近の海外投資家の買いは「値上げ浸透で改善する日本企業の収益」への評価でしょう。そして「現金の価値減退を憂慮した日本人が日本株を継続的に購入した場合の需給インパクト」も意識しています。
5月23日午後20分記